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339.特殊な体形について その四

Posted by KINN Tailor on 04.2017 採寸の話   0 comments   0 trackback
 今回は「斜辺裁断」について説明します。 

 私は最初から短寸式を勉強して製図をしていました。短寸式は細かい数字
がわかるので、体形に合った製図ができ、他の採寸法より良い・・・という
のが私の感想です。
 それでも実際に服を作ってみると、背の長さが不足する…つまり服の背の
裾がハネる等、時々妙な事が起りました。
 色々悩んだ末に出た答えが、「肩甲骨の膨らみ分が不足している」という
事でした。

 ところが、その頃は肩甲骨の膨らみを計る方法はありませんでした。そこ
で、膨らみを計る為に、幾つかのポイントを決めました。
 私なりに考えたポイントは、以下の4つです。
①ソケットボーン ②鎌深 ③脇 ④肩先 
(図 イラスト1)
 その計り方は・・・
①〜②:ソケットボーンから鎌深(高さ) 
②〜③:鎌深から脇(底辺) 
③〜④:脇から肩先(肩の高さ) 
③〜①:.脇からソケットボーン(内側斜辺)
及び
②〜④:鎌深から肩先(外側斜辺)
・・・です。
特殊体形 採寸4

 計った数字を使うと、2つの三角形が描けます。
(図 イラスト2)
 この三角形の形を見るだけで、概ねその肩周りの体形を掴む事ができます。
 例えば、日本人に多い「イカリ肩」の場合は、③~④が長くなるか①~②
が短くなります。
 内側斜辺①~③を計る事によって、首の位置が前に付いているか、後に付
いているかがわかります。
 また外側斜辺④~②を計る事によってどれ位前肩か…が数字でわかるよう
になりました。
 一番知りたかった肩甲骨ですが、膨らんでいる人は①~③、②~④の寸法
が長くなりますので、①~④の間隔が広くなります。その場合は、肩のイセ
込みが沢山必要になる・・と言ったような具合に、肩甲骨周りの数字を知る
事で、膨らみだけでなく肩や首の位置もわかるようになったので、それ迄と
は全く違う感覚の製図となり、後身頃の下がり具合が格段と綺麗になったの
です。

 次回から採寸の続きに戻ります。

〈つづく〉

#338.特殊な体形について その参

Posted by KINN Tailor on 21.2017 採寸の話   0 comments   0 trackback
 今回は、オーバーネックについて説明します。

 オーバーネックは普段あまり計る事はありません。もし実際に計っている
方がいらっしゃったとしても、オーバーショルダーなどと同じ考えで計る事
が殆どではないでしょうか。つまり、首の付け根の位置を確認する事が目的
となりますから、片側だけ計れば良い…となります。
 私の場合は…肩や脇の位置が違うにも関わらず、オーバーショルダーが思
った程違わなかった時に、首の付け根の位置が左右でどれ位違うか…を知る
為に計りますので、両側計ります。

計り方は下の要領です。
27オーバーネック1  28オーバーネック2
鎌深から首の付け根を通って、胸のラインの前中心までを計る。

29オーバーネック3  30オーバーネック4
・次に反対側…胸の前中心から首の付け根を通って鎌深までを計る。

オーバーネックの採寸を図にすると、図のようになります。
オーバーネック寸法

・この方のオーバーネック寸法は右が49cm、左が51cmでした。
*この採寸によって、右の肩が首の付け根から1cm下がっている事がわかり
 ます。

◎そして、これこそ滅多に計らない箇所ですが・・・
31オーバーネックじゃなけいど資料
後ろから腕の付け根の位置を計ってみる。
*これが驚いた事に2.5cmの差がありました(普通は1~1.5cm程度)。
*右側の首の付け根が左側よりも下がり、肩先に行くほど差が大きくなって
 います。
*それに伴って脇の付け根も下がっている事がわかります。これだけの差が
 出るのは背骨が右側に曲がっている為です。

左右差を図で表すと、このようになります。
左右付き合わせ


 ここ迄で、上半身の左右の差を平面的に捉える事ができました。
 加えて、次回説明する「斜辺裁断法」によって、立体的に…背中の膨らみ
具合の違いを正確な数字で
知る事ができるようになります。

〈つづく〉

#337.特殊な体形について その弐 (改定)

Posted by KINN Tailor on 07.2017 採寸の話   0 comments   0 trackback
8/7公開の本ブログに一部訂正があるため、以下を改訂版として差し替え
 させて下さい。


     *   *   *   *   *   *

 それでは、採寸した数字を用いて説明していきます(私は「短寸式」
採寸を行います)。

①肩幅XS(Cross Shoulder)
1肩幅
腕の付け根から真っ直ぐ上がった所を始点として反対側までを計る: 48cm
*この方と同じ位の体形だと46cm位なので、肩幅が少し広い事がわかる。

②背幅XB(Cross Back)
肩から腕の付け根の1/2の所を始点として反対側まで計る: 44cm
*普通よりも少し広め

③鎌深SD(Scye Depth)
5鎌深  5−2鎌深
ソケットボーンから脇の下のラインまでを計る: 21cm
(脇の下に手を入れて、脇の下の位置を確認してから計ると良い)
*普通よりもやや長め

 次に計る越肩前肩は普通片側しか計りませんが、この方のように左右の
肩の位置が違う場合は、両側共
計ります。

④越肩OS(Over Shoulder)
6越肩
鎌深の下のポイントから前の腕の付け根までを計る: 左 48cm、右 47cm
*思っていたよりも差がなかった。

⑤前肩ST(Strap) 
7前肩
ソケットボーンから前の腕の付け根までを計る: 左 36cm、右 35cm
*これも思っていた程ではなかった。

⑥ブレード
9ブレード  8ブレード
鎌深の下のポイントから脇の下を通り、腕の前の付け根までを計る
左 34cm、右 33cm
*この位の差は、まぁよくある数字。


 前回、背中を触っている写真を見て頂いたと思いますが、その時わかった
事があります。それは単に左右の肩の高さが違うというのではなく、背骨が
曲がっている事によって肩の高さが違っている
…という事です。
 そして実際に採寸してみると、身体の曲がりから想定した程、左右の数字
の違いがなかった事に少々戸惑いました。
 何故かと言うと・・・この方のように左右の肩の高さが違う場合、型紙は
左右別々に作る
必要があります。ところが数字に差がなかった為、製図する
上で必要な「ネックポイント」を別々に割り出す事ができなかったのです。
 その為、普段は計らない「オーバーネック」を計る事にしました。

 次回は、そのオーバーネックから説明します。

〈つづく〉

#336.特殊な体形について その壱

Posted by KINN Tailor on 31.2017 採寸の話   0 comments   0 trackback
 今回から、特殊な体形の採寸方法と裁断についてお話したいと思います。

 数種類の特殊な体形をお見せできれば良いのですが、一度に紹介するのは
難しいので、今回は特に上半身に特徴のある方について説明します。

   *   *   *   *   *

 私は採寸をする前に、その方の体形を良く観察するようにしています。
最初は後ろから。次に両側から、そして前から拝見します。

①採寸スタート
1採寸スタート
・肩の高さが左と右とで、かなり違うことがわかります。

②肩の具合-1            ③肩の具合-2
2肩の具合1  3肩の具合2

④肩甲骨
4肩甲骨
・実際に肩や肩甲骨を触って、どれくらい違っているか・・・を感覚として
 掴みます。

 実際に手で触ってみた結果、わかった事は・・・背骨が右に曲がっている
為に右の腕の方が左よりも低い所に付いている…つまり右と左の肩の高さ
がかなり違っている
という事です。他には首が長めである事が特徴でした。

 このような体形の場合、採寸をする際に次の箇所について左右それぞれ
計る
ようにします。
1)オーバーショルダー
2)ブレード
3)前肩
4)斜辺裁断


 首が長い事については、斜辺裁断の寸法を参考にして、首の根本に近い
で調整をするようにします。


 それでは次回から、採寸の様子をご覧頂きながら説明を進めて行きたい
と思います。

〈つづく〉

#335.望遠鏡の話 その参

Posted by KINN Tailor on 17.2017 懐かしい話   0 comments   0 trackback
 買った望遠鏡キットの説明書には次のような事が書かれていました。
①適当な板の上に丸いガラスを1枚固定させる。
②その板を、腰の高さ位の台に乗せる(もしあれば、樽のような丸い台が
 良い)。
③ガラスの上に研磨剤を振りかけ、そこに水をかけて、もう1枚のガラスで
 磨く。
④ガラスを磨きながら、自分も台の周りをゆっくり回る。

 手頃な台を探すために物置の中を見てみると、樽はありませんでしたが、
丁度良い高さの台がありましたので、それを使う事にしました。
 そこにガラスを乗せて磨いていくのですが、その方法は…上のガラスを
上下に動かしながら更にガラスを一方向へ回し、自分も台のまわりを回る

・・というものでした。
 頭では理解できましたが、実際にやってみようとしてもなかなか体が動き
ません。まずガラスを上下に動かすのが簡単にはできませんでした。更に
上下に動かしながらガラスを回すのも思うようには行きませんでした。
 最初は、ガラスを上下に動かして自分も台のまわりを回れば、自動的に
ガラスも回るような気がしましたが、説明書によると、それでは駄目だ…と
いう事でした。
 ガラスを上下に動かしながら更に回して、そして自分も台の周りを回らな
くてはならない
のです。
ガラス磨き

 最初はごくゆっくり、ぎこちない動作でガラスを磨き始めました。
 1日に2~3時間は磨いたでしょうか…だんだん慣れて来て動きがスムーズ
になっていき、1週間位磨いている内に上のガラスが凹んで来ました。
 そこで、ガラスをよく洗ってから電灯の光を当て、反射した光を鏡に当て
てみました。
 すると光がスーッ…と小さな輪になったので、何か苦労が報われたような
気がして嬉しくなりました。
 そこで、さらに2~3日掛けて丁寧に磨きをかけ、表面がツルツルして来た
ところでガラスは良しとしました。
 次に木の板で枠を作り、片側に反射鏡を取り付け、それを受ける平面鏡
覗いて見る所に接眼レンズを付けて…どうやら完成しました。

手作りの反射望遠鏡

 夜になって星を見てみると、とても綺麗に見えたのでとても感激しました。
ところが次の日の昼間に景色を見てみると、何となく景色が歪んでボンヤリ
して見えたのでがっかりしました。やはり素人の仕事ですから仕方がない事
なのかも知れません。

 当時の私の性格からすると、もっともっと良く見える望遠鏡作りに取り組
んでいきそうなものですが、そうしませんでした。
 模型の飛行機や船を作るのが好きだったのは、それができた後に遊べるの
が楽しかったのと、自分で模型の設計ができたところが、熱中できた点だと
思います。
 結局、私の望遠鏡作りはこの1台で終わってしまいましたが、今になって
みると、もう一度ちゃんと作ってみたいような気がしています。
  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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