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#377.新しい裁断法によるパンツ その壱

Posted by KINN Tailor on 04.2019 裁断の話   0 comments   0 trackback
 私の服作りにおけるテーマの一つが、「着心地の追求」です。少々大袈裟
に聞こえるかも知れませんが、人間は動く訳ですから、着心地を考えないと
結果的に"美しいライン"は出ない
…というのが私の考えです。
 特にパンツについては、相応の"拘り"があります。パンツは2本の脚が別々
に動くという事に加え、座ったり、しゃがんだり…と、幾つもの大きな動き
を考慮しなくてはなりません。それでいて見た目も美しく、例えO脚でもY脚
でも、極力それがわからないようにしなければなりません。

 父の時代、同業他者には、ジャケットについて色々とお好みや拘りを仰る
お客様が多くいらしたようですが、私共の店では(珍しい事に)パンツにつ
いて厳しく仰る方
が多かったとかで、父も相当研究を重ねていたようです。
 その影響もあるのでしょう、私は最初から「パンツは一筋縄ではいかぬ物」
という観念で修業をしていましたから、もしかすると他の方よりも拘りは多
いのかも知れません。

 私のパンツは「履きやすさ・動きやすさ・脚を綺麗に見せる垂れ」という
3点を特徴にしていますが、それには裁断だけでなくアイロンワークによる
"くせ取り"が重要になってきます。
 この「アイロンワーク」ですが…私は得意というか、大好きな作業の一つ
です。修行をしている頃に、アイロンワークによるくせ取りを習いました。
 最初、父がくせ取りをしている様子を見て、「何であんなに生地をあっち
に向けたりこっちに向けたりしてアイロンを掛ける必要があるんだろう?」
と、不思議に思ったものです。そして、くせ取りを勉強して行く内に、その
効果の素晴らしさを知り、ある意味"くせ取りにのめり込む”ように研究を重
ねて行った訳です。
 今迄のくせ取りをより効果的に、そして今まで”くせ”を取っていなかった
所も"くせ"を取る事によって履き心地が良く、動きやすくする事ができたの
です。またくせ取りの影響で裁断が変わった所もありました。

 こうしてくせ取りを研究し続けて来た訳ですが、数年前からくせ取りを減
らす方向
で、同じ履き心地を実現する方法はないか?…と思い始めました。
一般的なスーツ生地ですと全く問題ないのですが、生地がとても厚かったり
硬い場合などに充分に"くせ"が取れない場合があったりするからです。
 そんな時に、考えたのが今回紹介する裁断法によるパンツです。
 脚の運動量は圧倒的に後側が多いので、パンツのくせ取りも後身が多く
なります。特に後身の内側のくせ取りが多いので、これをどうにか工夫でき
ないかを考えあぐねた末、「新しい裁断法」を思いつきました。

 4年程前にこのブログでも簡単に紹介しましたが、次回からその裁断法
と実際に仕立てる様子
を何回かに分けてご紹介していきたいと思います。

〈つづく〉

#376.十干十二支の話 その弐

Posted by KINN Tailor on 18.2019 干支の話   0 comments   0 trackback
 私が "十干十二支" に興味を持ったきっかけは、当時の成績表の評価に
「甲乙丙」が使われていた事です。
 「何で1番、2番、3番ではなくて、甲、乙、丙なのだろう?」…と最初は
思いました。
 「あの子は級長をやっているけれど、級長をやっている子は大抵、全甲
(ぜんこう:全ての評価が甲)の子だ」…などという話をよく聞いたりした
ものです。
 そこで、「甲乙丙」というのは単なる順番ではなく、きっと意味がある
違いない」…と思い、調べる事にした訳です。
 私の叔父で、僧侶であり大学教授も務めていた人が居たのですが、その人
「東洋の暦」についても詳しく、よく父とその類の話をしていましたので、
余計興味を持ったのだと思います。
 その時にわかった事をごく簡単に解説すると、こうです。

 東洋の暦はもともと5つの要素…木・火・土・金・水で成り立ち、これを
五行(ごぎょう)と呼ぶ。それぞれ表側と裏側があり表側を兄(え)、裏側
を弟(と)と呼ぶ。これらの要素を表と裏に分けて十干になる訳です。
 ここまでの調べて甲乙丙には続きがある事、そしてそれはから
来ているという事はわかったのですが、肝心の甲乙丙にどのような意味が
あってその順番なのか?…は、調べる事ができなかった・・というか、子供
だったので、干支がわかったところで満足してしまったのだと思います。

 さて前述した叔父の父親は、暦について更に詳しい・・というか、暦その
ものを研究をしていて「東洋占術」では名の知れた人でした。
 私の父はあまり占いを信じる人ではありませんでしたが、一度だけ「一生
に起こる事」
…を見て貰った事があるそうです。父の話では、ほぼ 9割がた
その通りだったという事でしたから大したものです。
 私はこの話を随分後になって、父が歳を取ってから聞かされました。確か
父が60代だったと思います。その占いには父が64歳になるまでの事が書いて
あって、「この先は?」と聞いてみたところ、「必要無し」と言われたそう
で、父は「私の寿命は64歳だ」…と、よく言っていました。
 実際には80歳迄生きましたので、寿命はまだあった分けですが、考えて
みると64歳からは比較的平穏でしたから、特に記述する事はなし…という
意味だったのかも知れません。
 父は仕事一途ではありましたが、人の面倒を良く見る人でもありました。
そういった事が寿命を伸ばしてくれたのかも知れません。
 私も父のように、少しでも何かの役に立てるように・・という気持ちで
日々過ごしています。

     *   *   *   *   *   *

 1月に私のAcademyの生徒さん達と新年会をしました。
 沢山の参加者が居て、とても楽しいひと時…年の初めとなりました。

新年会2019**

#375.十干十二支の話 その壱

Posted by KINN Tailor on 04.2019 干支の話   0 comments   0 trackback
 今年、平成31年は「猪(イノシシ)年」です。
 最近は西暦で表記するカレンダーや文物が増えましたので、日本式の物で
ないと仲々お目に掛かれませんが、干支の所は「己亥」(つちのと・ゐ)と
ある筈です。これは「十干十二支(えとじゅうにし)」という暦の一種です。
若い方も「丙午(ひのえうま)」とか「五黄の寅(ごおうのとら)」 という
言葉は聞いた事があるのではないでしょうか。

 私は今年で89歳になりますので、かなり昔の話になりますが…私が小学校
へ入学する頃は、成績表の評価には「甲乙丙(こう・おつ・へい)」が使わ
れていました。また新書などの発売日は「昭和⚪︎⚪︎年」ではなく「昭和己亥
⚪︎⚪︎年
」と、"十干十二支"を間に挟んだ表記になっていたものです。
 これらの事からもおわかりのように、私の子供の頃にはこの"十干十二支"
が広く一般的に使われていました。今でも十二支の方は残っていて、自分の
干支を知らない方は殆どいらっしゃらないと思います。

 子供の頃、この十干十二支に興味が湧いて少し勉強したことがあります。
(ここからは私独自の見解ですので、専門の方からはご指摘を受けるかも知
れませんが、概ね合っているのではないか…と思います)。

 十二支は「(ね)」から始まり今年の「(い)」まで12種類の動物
で構成されています。十干の方は「甲(こう きのえ)、乙(おつ きのと)、
丙(へい ひのえ)、丁(てい ひのと)、戊(ぼ つちのえ)、己(き つち
のと)、庚(こう かのえ)、辛(しん かのと)、壬(じん みずのえ)、癸
(き みずのと)」という10種類から成っています。これは、「木、火、土、
金、水」
という世の5つの要素を、表と裏に分けて当て嵌めたものです。
 神社などで配っている暦を見ると、日ごとに「きのえ いぬ、きのと ゐ…」
となっていますから、全ての数え方の基準となっているようです。この十干
(10種)と十二支(12種)を組み合わせていくと、ちょうど60年で一回り
するので、61歳で還暦(かんれき)となり、もう一度生まれ変わったという
意味でお祝いをする習慣がある訳です。
 つまり"人生は60年で一回り"と考えていたのでしょう。多くの企業で定年
は60歳
としていたのも、この暦の影響があったのだと思われます。

🔳暦                🔳暦 日ごと
暦  暦 日ごと
・神社で配っている暦      ・日ごとに十干十二支が割り振られている 

🔳サイン 
サイン
・昔は年号の代わりに十干十二支を書く習慣もあった
「己羊 きのと・ひつじ 8月13日」


 さて、この続きは次回・・・。

〈つづく〉

#374.ショールカラーの話

Posted by KINN Tailor on 21.2019 襟の話   2 comments   0 trackback
 本ブログの読者の方から「ショールカラー」についての質問を頂きました。
ショールカラーの襟とその見返しの描き方について…という内容でしたので、
今回はその説明をさせて頂きます。

 まず襟の描き方ですが、これは普通の描き方と基本的には同じです。
 違いは、襟の刻みがない事ですので、普通に襟を描いてから外側のライン
を延長
し、ラペルと繋げれば良い訳です。
ショールカラー1

 次に見返しです。ショールカラーはラペル~襟に縫い目はありませんので、
見返しはその部分を繋げておかなければなりません。

 一般的なショールカラーの見返しは、ラペルと襟が繋がった物を左右一枚
ずつ
(普通のジャケットと同様に)描き、襟の中心で繋ぐようにします。
 私は、襟の中心の繋ぎ目が後ろから見えるのが気になるので、襟と左右の
ラペルが付いた見返し
を掛けます。この場合、見返しを掛けるのは肩が入り、
後身頃まで付いてから掛ける事になります。
 具体的には、図のようにラペル(釦の下辺りまで)と襟が繋がった見返し
を1枚
釦の下から裾までの見返しを2枚取ります。

ショールカラー2

 実際に見返しを掛ける際には、襟の部分はカーブしていますので、それを
想定して描かなくてはなりません。ここが一番のポイントになります。
 つまり…見返しが繋がっている為に、返した時に斜めに引っ張られてシワ
が出易くなるのです。これを防ぐ為には、見返し側の襟の角度が非常に重要
になる訳です。
 私がお勧めする方法は、後身頃が付いた実際のジャケットを使って見返し
を描く方法
です。これですと襟が付いていますので、平らに置くと襟が自然
にカーブしますので描き易い筈です。
 ラペルと襟が繋がった見返しは、生地を沢山使う事になりますし、綺麗
に掛けるのには少々技が必要ではありますが、やはり襟の後側に継ぎ目が
ない方が美しい
ので、私はこのやり方にしています。

      *   *   *   *   *   *

 長年仕事をしていますと、自分が日々やっている事が当たり前・・・と
いう感覚になり、皆さんの疑問…お聞きになりたい事が分かりにくくなり
ます。
 今回"ショールカラーの見返し"についてのご質問を頂き、自分のやり方
が特殊である事を思い出しました。
 今後もこのようなご質問があれば、できる限りお答えしようと思います
ので、遠慮なくお寄せいただければ・・・と思います。

#373.新年を迎え

Posted by KINN Tailor on 01.2019 新年を迎え   4 comments   0 trackback
賀状絵
  

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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