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#71.ミシンの話 その弐

Posted by KINN Tailor on 02.2012 道具の話   0 comments   0 trackback
 前回に続いてミシンの話です。
 今は昔と違って、実に色々なことができるミシンがあります。私共は手
縫いの箇所が多いので、前回写真でご紹介したごく普通のミシンがあれば
充分なのですが、25年位前に特殊なミシンを買って使っていたことがあり
ます。
 "ステッチマーカー"という名前で切躾をするミシンでした。

 切躾(きりびつけ)は洋服を作る一番最初にする作業で、重ねた2枚の布
に躾糸でマークを入れ、これを鋏で切り離すのですが、結構手間がかかり
ますし、下手をすると切り離す時に布を切ってしまう危険もあります。
 ですから、この作業がミシンでできたらとても画期的な訳で、売り出さ
れるとすぐに購入しました。
 構造としては…2枚の布の間にメスが入っている箱を挟んでモーターを踏
むと、ひと針毎に躾糸で2枚の布に印をつけていきながらメスが布の間の糸
も切っていく
…という物でした。
 買った時は、とても面白くてそれこそ長時間使っていましたが、ひと針毎
に結構大きな音がしましたので、家族たちは「うるさい」と思っていたよう
です。
 このミシンを使えば、布の間の糸を切り離す時に布を切ってしまう心配は
ないのですが、布の間にはさむ箱が(薄くはできていましたが)あるので、
厳密にいえば上下の布は多少ずれる恐れがありました。
 それと、しばらく使って見て判ったのですが、糸を切るメスが以外に早く
擦り減ってしまい、切れなくなってしまうのです。おまけにメスが結構値段
が高く、製造元に頼んでもらわないとなかなか手に入らない…という欠点が
ありました。
 そんなことで、暫くは使っていたのですがだんだん使わなくなり、やはり
切躾は手でやる方が良いな…という結論に至りました。
 その後、このステッチマーカーは知り合いの工場に進呈したのですが、今
使われているか否かは不明です。

 今はもっと性能良いステッチマーカーができているだろう…と思いました
が、良く考えてみると、現在工場では切躾を打つことはしていないでしょう
し、それ用の新しい機械が開発されることはなかったのではないでしょうか。
 もしかしたら、私が進呈したミシンは「幻の逸品」だったのか?…なんて
思ったりします。

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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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