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#69.釦の話

Posted by KINN Tailor on 19.2012 アクセサリーの話   0 comments   0 trackback
 以前頂いたご質問に「上着の釦はどこを止めるのが良いか」というものが
ありました。今回はその事について考えてみたいと思います。

 まずダブルですが、これは掛ける釦と飾り釦(button show)がハッキリ
決まっている事が多いのが特徴とも言えます。デザイン上、どの釦を掛ける
とか外すとかによって、服の表情が変わることがないのが理由だと思います。
その点シングルの場合、例えば三つ釦を考えてみると上二つを掛けた時と、
中一つ掛けにした時とではハッキリと表情が変わると言えます。
 技術的な観点から言いますと、掛釦はウエストラインに近い所を止める
が一番安定します。
 例として三つ釦の画を描いてみました。
 a.が一番多く使われる例で、"三つ釦中一つ掛け"と呼ばれています。この
掛け方が英国で長い間使われていましたので、日本でも英国流を好まれる方
はこのスタイルにされることが多いようです。
 私共のお客様の1人に大変 a.を好まれた方がいらっしゃいました。お嬢様
が結婚をなさる時にお婿さんに上着をプレゼントすることになったのですが、
"三つ釦中一つ掛け"で着る事が条件だったそうです。幸いお婿さんも英国好み
だったようで快諾されたので、早速ご注文になりました。
 着方を条件にして服を進呈されるというのは、あまりない事ですが、これ
"こだわり" なのだと思います。
 画に戻りまして…b.とc.は割と珍しい掛け方です。b.はVゾーンが狭く裾
に向かって緩やかに広がる形になり、逆にc.はVゾーンが長めに強調される形
になります。このb.とc.は不安定な面白さを狙った掛け方と言えます。
釦位置
 "三つ釦二つ掛け" は、中釦と上の釦を掛けたスタイルが一時若い方達の間で
大変流行し、特にイタリア流の着こなしの際によく使われていましたし、中釦
と下の釦を掛けるスタイルも根強いファンがいらっしゃるようです。
 つまり、どの釦を掛けるかはご本人のお好みでいい訳です。但し釦の止め方
でジャケットの表情も変わり、全体の印象も違ってくる
ものです。
 その日の気分やその時のスタイルで、色々試してみるのも楽しいのではない
でしょうか。

 これに対して釦の掛け方が決まっているのが礼服です。
 礼服の場合は、どのスタイルでも全て掛けるのが正式な着方です。やはり、
"正装"としてきちんとしたイメージを出すのが大切なのだと思います。


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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