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#65.仮縫いの話 その壱

Posted by KINN Tailor on 20.2012 仮縫いの話   1 comments   0 trackback
 オーダーメイドの服を作る場合、「仮縫い」がとても大切な役割をします。
技術面からも、洋服作りでもっとも難しい事の一つとされています。

 一般的に仮縫いのことを「フィッティング(fitting)」と言っていますが、
仮縫いをする人のことを「フィッター」と呼び、裁断をする人たちの中から
技術的に優れている人がフィッターに選ばれるのです。
 昔、英国の大きな店では、ジャケット、ウエストコート、パンツそれぞれ
の担当のフィッタ―がいて、順番にフィッティングを行った…と云われてい
ますので、その要求される技術の高さが分かります。
 最近では日本でも「フィッター」と呼ばれる人が出てきているようですが、
必ずしも"裁断ができる人がなる"という事ではないようで、一つの"独立した
技術"と解釈されているのかも知れません。
 さて、この仮縫いですが…「どのようにどこまで組み立てるか」という事
や「仮縫い方法」の違いなどが、店ごとの大きな特長になると思います。
 お店によっては、仮縫いはあくまでもサイズを確認するものとして、身頃
を躾でとめただけのごく簡単な方法にしている所もあります。
 私共の場合は、仮縫いでできるだけ仕上がりの状態に近く組み立てます。
ですから芯は本縫いで使う状態まで仕上げたものを身頃に据えてくせ取りを
行い、袖山もイセ込みをして、襟はプルダウンをします。これは、仮縫いの
時に出来上がりの形をお見せして細かい部分を直し、お客様に実際に動いて
頂きながら不具合がないかをチェックしてデザインを決めて行くのが私共の
やり方だからです。

   仮縫い1,2
      ※芯を入れ、仕上がりと同じような形にする

 よく「そんなに丁寧に作って大変ではありませんか?」と言われますが、
お客様が仮縫いを楽しみにされるように、私にも楽しみがあるのです。
 それは、生地は工程によって表情を変える…という事です。生地に型紙を
乗せてチョークを引き、鋏を入れてそれぞれのパーツに分かれた時に「生地
が表現を見せ始める」
と言うか、「生地」であった物が「服」になり始める
のです。
 そして糸を入れてアイロンを当て、組み立てる工程に至って、生地のハリ
や柔らかさ、伸縮性など、実際に作業に入ってからわかる事も多く、驚かさ
れる事も少なくありません。そして仮縫い状態に仕上げる迄に、そのお客様
のイメージした通りになるか、仕上がり具合はどうか…等など、想像しなが
ら行うのは実に楽しい作業なのです。

 そして、いざ仮縫いになると、今度はお客様とのやり取りが待っている訳
ですが、そのお話は次回することにしましょう。

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2012.02.23 13:24 | | # [edit]


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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