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#60.父の思い出

Posted by KINN Tailor on 16.2012 父の話   0 comments   0 trackback
 創業100年を記念して金洋服店創業者・父、金生(かねお)の思い出話を
少しさせていただきたいと思います。
 
 父の代は店が港区虎ノ門の近くにありました。
 その店のすぐ裏に同姓の「服部さん」という方が居られ、この方は貴金属
の細工をなさる方でした。それで父の店で作るブレザーコートの釦(上物は
銀製でした)をよく作って頂きました。
 適当な厚みの銀の板を丸く抜いて金槌でたたいて丸みを出し、裏側の糸を
かける輪をつけて出来上がりなのですが、完全な手作りなので大変味があり、
父もよく自慢していました。
 お客様の中には、この釦に彫刻を施して欲しいという方もいらっしゃいま
して、家紋をお入れしたこともあります。随分凝ったものでした。
 父は記念品のような物が好きで、70歳の時に自分用のベストを作り、それ
につける金属の釦をこの「服部さん」に作ってもらいました。
 小さな釦でしたが5個あって、それぞれの表面に「福、録、壽、康、寧」
の文字を彫ってもらい、それをベストに付け、仕事の時に着ていました。と
ても気に入っていたようです。
 この貴金属屋さんの仕事がよほど気に入っていたのか、別の時にカフスボ
タン
も作ってもらっていました。それが下の写真です。

     カフス**

「寿」という文字も入れてもらい、結婚式に出席する際にに付けて行ったの
を覚えています。

 記念品といえば…父が80歳になる年がちょうど明治100年に当たっていま
したので自分の80歳の記念と、明治100年を祝い、文鎮を作りました。
 父の姉の夫は文学者で「かぐのみ」という短歌の会を主催していましたが、
その人の影響で、父も短歌を作るのが趣味の一つでした。
 この時も一首作って、それを文鎮に彫っています。
「八十とせを ここにむかふる老梅の めぐみゆたかに花は咲きつつ」

     文鎮**

 何とこの文鎮は、当時造幣局の中にある組合で作ってもらったのだそうです。
造幣局を引退した方たちが作っている組合で、こういった文鎮なども依頼でき
たのだそうですが、仕上がりが気に入ったようで父は大変喜んでいました。
まさにオリジナルの、そしてこだわりの逸品です。



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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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