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#59.裁ち始め

Posted by KINN Tailor on 09.2012 仕事の話   4 comments   0 trackback
 あけましておめでとうございます。
 今年が皆様にとってよい年であるようお祈り申し上げます。

 さて、お陰さまで私共の店は今年創業100年を迎えます。開業したのは、
大正2年1月2日だそうです。
 私が父から受け継いだ竹の「一尺差」の裏に、墨で「大正二年一月二日」
と書いてありましたが、さすがに100年使うと墨が落ちてしまって、今では
字の跡も残っていません。
 うちにはこの当時から使われてきた道具がいくつもあり、みな100年を超
えている訳です。ですから、この墨文字のように消えてしまったものなどを
見ると、「古さ」を感じますが、他の物は「古さ」と言うよりは「いい味に
なっている」
というのが正直な感想で、そう考えると100年というのはそう
長い期間ではないような気もしてきます。

 100年前に話を戻しまして・・・
 仕事の方はどうやら順調にスタートしたようです。まず、初日に始めての
お客様がおいでになり、スーツを注文されたそうです。
 高橋さんとおっしゃる学校の先生だったそうで、随分あとまで「僕が君の
店の顧客第一号だよ」と笑ってお話になっていたそうです。
 翌1月3日には宮内庁関係の方がモーニングを注文して下さったそうです。
「礼服のご注文」というのは特別で縁起がいい…ということで、この時から
一年の仕事始めを1月3日に決めたようです。

 毎年父は3日の朝に「裁ち始め」をし、それが終わると家族や知り合いを
連れて食事に行くことにしていました。
 一昨年のブログ『年の暮れ』で「年末は納品が忙しく元日まで仕事という
事が珍しくなかった」と書きましたが、これは戦後の話で、私が子供の頃は
「裁ち始め」の後に皆で食事に行き、優雅なお正月を過ごしていました。

 父は、この大正2年1月3日にモーニングのお仕事を頂けたことがとても嬉
しかったらしく、同じお客様がちょうど30年後にモーニングのご注文をして
下さった時も、1月3日に裁断をしていました。
 私も父と一緒に仕事をしていた時は、3日に「裁ち始め」をしていました。
今でもそうしていますが、「裁ち始め」=その年の最初の仕事ということで、
何か特別に「おめでたい服」のような気がしてきます。

毎週たのしく拝見しています。
断ち始めですか、昔のおおらかな時代の話は大好きです。
昔のお客様とのエピソードなど、もっとお聞きしたいです。
2012.01.27 22:21 | URL | リカルド夙川 #- [edit]
リカルド夙川様

いつもコメントを頂きありがとうございます。
つい技術的な話になりがちですが、これからは
懐かしい話も交えながら続けていきたいと思います。
今後とも宜しくお願いいたします。
2012.01.28 11:47 | URL | 服部 晋 #- [edit]
創業100周年、本当におめでとうございます。
これからもすばらしい服を作り続けてください。
今日、拝見した一見、カシミアに見える生地、すばらしかったです。


今後ともよろしくお願いします。
2012.02.26 19:43 | URL | NN #- [edit]
NN様

コメントありがとうございます。
また、先日はご来店頂きありがとうございました。
ご覧頂いたシルクはとても珍しく、素晴らしいものなので
今度ブログで紹介できればと思っています。
今後とも宜しくお願いいたします。
2012.03.02 11:13 | URL | 服部 晋 #- [edit]


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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