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#54.インバネス

Posted by KINN Tailor on 05.2011 オーバーコートの話   0 comments   0 trackback
 昨年あたりから、婦人服ではマントポンチョが流行っているらしく、娘
も自分の物をせっせと作っています。
 紳士物では、礼装でパーティの時などに着るケープがありますが、残念な
ことに、最近ではあまりお作りする機会がありません。
 このケープとオーバーコートを一つにしたような「インバネス」とうコート
がありますが、これは今でもご注文を頂きます。
 今日はその「インバネス」についてお話したいと思います。

 インバネスはスコットランドのインバネス地方のオーバーコートで、ヴィク
トリア王朝時代には、既に"お洒落コート"として盛んに着られていたようです。
 そのデザインを説明しますと…袖のない長い身頃手の先位の長さのケープ
を取り付けた形をしています。
 袖がなく、アームホールにあたる部分はかなり大きな穴があいていますので、
脱ぎ着が大変楽ですし、和服の上にも着ることができますので、大正時代など
にはとても流行し、その形から「トンビ」とか「二重まわし」と呼ばれていま
した。
画 A**
 身頃は、上図のような形をしています。つまり、ゆったりした長いベスト
のようなものです。襟が2種類ありまして、ステンカラーのもの(a)と、
ラペルの付いたもの(b)があります。前の釦は普通のオーバーコートと同
じで、釦を見せる場合と比翼仕立てにする場合があります。
 この身頃に、長いゆったりとしたケープを付ける訳ですが、インバネス
特徴としてケープが左右に分かれていて(下図)背中を一回りしていません。
      画 B**
 このケープが左右に別れないで一回りしている物は、「ケープコート」
呼ばれていてインバネスとは別物として扱われています。

 インバネスの仕立て方は二通りあります。
 肩の縫い目をそのままケープの先まで伸ばして、羽根を2枚つなげて作る
方法とケープの部分を1枚で作る方法があります。
 勿論1枚の方が布地が沢山必要になりますが、一枚の方が布が「ふわり」
とかかっている雰囲気で、それを好まれる方が多いので、私共では1枚で作
るタイプだけにしています。
 インバネスは保温性も高く、生地によっては女性の方でも充分お召し頂
けるものです。男性の方が召せば、お洒落でちょっとクラシックな雰囲気
をお楽しみ頂けるオーバーコートですので、また流行る時が来たらいいなぁ
…と思います。
ポンチョ&マント
左:マント   右:ポンチョ
娘が作った2点:なかなか暖かいらしく、愛用している。


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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