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#52.毛皮のオーバー その壱

Posted by KINN Tailor on 22.2011 オーバーコートの話   4 comments   0 trackback
 今年は11月に入っても妙に暖かく気持ちが悪い感じでしたが、先週頃から
やっと本来の気温になってきました。
 昼間の天気の良い時などは気になりませんが、北風が吹くような朝夕は、
やはり温かいオーバーコートが欲しくなります。
 地球温暖化のせいか、最近では冬でもオーバーコートを着ない方が増えた
ようですし、着用するにしても薄手の軽い物やショートコート等をお召しに
なるようです。
 洋服屋としてではなく「お洒落」の視点から見れば、寒い時期にオーバー
コートを羽織って外出する…というのはこの季節の楽しみですし、良いオー
バーコートというのは、ある意味「お洒落の締め」とも云える乃ではないで
しょうか。
 以前は今より厚い生地を使ってオーバーを作ることが一般的でしたし、更
に保温とお洒落を兼ねて裏に毛皮を付けることもよくありました。
 毛皮というと「ミンク」が有名ですが、昔はまだ養殖されていなかったの
で、今よりもずっと高価でした。
 当時のお客様からのご依頼でお付けした毛皮は「テン(セーブル)」が多
かったように思います。「黄テン」「黒テン」と種類があって、それぞれ
味のある色をしていました。
    黄テン**
    黄テンを付けたロングコート
           父の私物で50年以上前の物
           今では考えられない程重量がある

 毛皮はとても温かいのですが、それなりに重量もありますので、軽いもの
を希望されるお客様は「リス」を使われました。
 ご存知の様に、テンはイタチの一種ですからサイズもそこそこありますが、
リスはご存知の通り…リスのサイズです。ロングコートに貼ることになると、
それこそ100匹以上必要だった場合もありました。
 ちなみにロシア産のリスが最上とされていましたので、「ロリス」と呼ば
れていました。
 毛皮の加工は私共ではできませんので、裏地の型紙を毛皮屋さんに渡して、
それに合わせて仕立てて貰います。周りは綿テープでヘリを取ってあります
から、それをオーバーの裏にはめてまつり付けて行く訳です。
 昔は裏だけではなく、襟に毛皮を付ける方もおいでになりました。紳士物
の襟につける毛皮としてよく使われたのが「ビーバー」です。ビーバーは毛
が寝ている感じですので派手過ぎず、お洒落な方に好まれました。
 フランス製のビーバーは毛の上半分だけが染めてあるのですが、もともと
ビーバーの皮が赤い色をしていますので、襟に付けて風が吹いて毛がなびく
と、うっすら赤い色が見える…という素敵な物でした。
 この染め方は大変難しい技術でフランスしかできなかったそうです。現在
ビーバーは保護動物になっていますので、毛皮を使うことはできませんが、
当時お洒落な方は、皆さんビーバーを襟に付けられました。
 毛皮屋さんの話によると、一番保温力の強いのは何と犬の毛皮だそうです。
南極で「タローとジロー」が生き抜いたのも、自身の毛皮のお陰だったので
しょうか???

 毛皮ライニングのコート、暖かそうですね。今より空調がなく寒かった時代、日本の街中にもこういった重厚なコートを身に纏った紳士がおられたのですね。新素材が一般化した現代では、こういった豪華なものは街で目にしないですね。
 かなり重量感があったとのことですが、重たいライニングを支える生地にもそれ相応のハリ・コシが求められたのでしょうか?目付はどの程度だったのでしょうか?素材は、柔らかなカシミヤでは、耐久性を補う芯地を使われていたのでしょうか?
2011.11.23 14:27 | URL | リカルド夙川 #- [edit]
リカルド夙川様

 いつもコメントありがとうございます。
以前はオーバー地そのものが厚かったのですが、目付としては600g位あったと思います。
メルトンのような生地が主でした。
カシミヤに付けたこともありますが、当時は芯地もしっかりしていたので、特に補強は
しませんでした。
もっともせっかく軽いカシミヤやビキュナに重い毛皮を付けるのは勿体ない、とおっしゃる方の
方が多かったです。
今後とも宜しくお願いいたします。
2011.11.25 11:09 | URL | 服部 晋 #- [edit]
毎回楽しく拝読しております
写真のコートとても暖かそうですね
季節外れの話題になりますが
今夏始めてスーツに麻のドレスシャツを合わせてみました
すこぶる快適でしたが売ってるお店がほとんどなく
在庫サイズも欠けており入手に苦労しました
季節を感じさせるお洒落文化
ぜひとも復活してほしいですね
2011.11.27 21:45 | URL | 花鳥風月 #- [edit]
花鳥風月様

 コメントありがとうございます。
以前もブログに書きましたが、昔は「夏といえば麻」でした。
日本の方は「シワ」を極端に嫌う方が多く、近年麻を使った
商品が減ってしまったようです。
私は麻独特の色味とシワ感がとても好きで、この夏もお勧め
して何着か仕立てさせていただきました。
おっしゃる通り、夏の麻は着心地も最高です。
また、麻が復活してシャツを含め色々な商品が出回ってくれる
といいのですが・・・
今後とも宜しくお願いいたします。
2011.11.28 11:05 | URL | 服部 晋 #- [edit]


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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