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#49.金銀モール刺繍 その参

Posted by KINN Tailor on 31.2011 アクセサリーの話   0 comments   0 trackback
 モールの話もひとまず最終回です。
 先日、いとこが店へ遊びに来ました。彼の父親=私の叔父がうちの最後の
モール屋だったのですが、このブログのこともあり色々と昔話をしました。
 終戦後、まだ日本人の人件費が安かった頃、よく連合軍(と、呼んでいま
したが米軍のことです)がワッペンを頼みに来たそうです。日本人は手先が
器用だとの評判だったので、一度に千個単位の注文がありました。
 商品が仕上がって納めに行くと、「下の方の物を見せてみなさい」と言わ
れたそうです。日本人は上手く出来なかったものを下に入れる…と思われて
いたようです。「臭い物には蓋を」ということわざがある位なので、そんな
民族性だと思われていたの知れませんね。いやはや・・・
 これは、その際に注文を受けたものではないか、と思われるワッペンです。
      米軍*
 下の物は日本海軍の袖章です。碇と桜をモチーフにしていますが、かなり
豪華な仕上がりになっています。
  袖*
 軍服の需要があった頃は、盛んに国内でモールを作っていましたが、徐々
にコスト削減のため海外の低賃金で出来る所に依頼するようになりました。
主に東南アジアやインドネシアだったのですが、文字だけは上手くできない
らしく、その部分だけを除いた状態の物を送らせて、文字は日本で仕上げて
いたようです。

 今回、久しぶりに手元のワッペンを見ましたが、本当に見事な出来栄えで、
手仕事の素晴らしさ味わい深さをつくづく感じながら、子供の頃のことを
思い出しました。
 日本の刺繍は奈良時代の末期に、吉備真備(きびのまきび)が遺唐留学生
として唐から日本へ持ってきたものと伝えられています。そのため吉備真備
「刺繍業の神様」として祀られていて、母の実家でも年に一度「きびさま」
という祭りがありました。
 その時は職人さん達が、皆揃ってお祝いをし、お酒や料理を楽しむ訳です。
子供だった私たちもお祝いに呼ばれて行くのが楽しみでした。お祭りの時は、
職人さんものんびりしていますから、普段聞けない仕事のことや細かいこと
などを色々と教えてもらったことを覚えています。
 戦中、陸軍から肩章の依頼が大量に入った時、人出不足だったために私も
手伝いをすることがしばしばありましたが、その後は洋服づくりの修業に入
ったためモール刺繍をすることはありませんでした。
 ただ基礎的なことや、どこにどのような素材を使うかなどは勉強しました
ので、ワッペンのデザインをする時など大変役に立っています。
 いとこがモール屋を継ぐか否かの頃は、厳しい状況だったろうと思います。
私とは年が離れていますが、このように昔話に花が咲くと、(私の父と叔父
のように)一緒に仕事が出来ていたらなぁ…と、ついつい考えてしまいます。
全体*
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 生地が揃いました。ウェブサイトの「生地サンプル」をご覧下さい。
*またこの他にも、カシミア100%の生地もございます。
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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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