#367.麻の話

0 0
 今年はいつもの夏に比べ、麻服のご注文を多く頂きました。

 昔は「夏と言えば白の麻服」というのが定番で、春頃から麻ばかり仕立て
ていた記憶があります。ところが近年、夏用の「モヘア」(アンゴラヤギの
毛)が増えてきて、麻に比べシワになりにくい特徴があったため、麻に取っ
て代わって使われるようになりました。
 また、全体的に薄い生地が好まれるようになった傾向もあり、ただでさえ
シワができやすい麻は、薄くすると更にシワができてしまう事が敬遠されて
しまったのか…生地その物が減ってしまいました。

 麻の需要が減った時期は、20年位続いたでしょうか・・私は、シワになる
特徴も"味"があって良いと思っていましたので、何となく淋しい思いをして
いたのですが、薄い生地の流行りもどうやらひと段落したのか…最近また昔
のように肉の厚い麻の生地が見本に載るようになりました。
 麻の復活を内心喜んでいたところ、たまたまお客様のご要望と上手くタイ
ミングが合った訳です。

 そんな流れの中で、あるお客様から「大麻」について知りたい…というご
要望がありましたので、少しお話します。
 ひと言で「麻」といっても種類があります。衣料として使われているのは、
亜麻(リネン)、苧麻(ラミー)、大麻(ヘンプ)の3種類です。
 私が今まで扱ってきた麻は亜麻から採れる繊維で「フラックス」と呼ばれ
ている物で、輸入生地では主流のようです。苧麻は日本では良く使われて
いるようで、小千谷縮(おじやちぢみ)などがあります。
 大麻についてはあまり知識がなかったため、少し調べてみたところ・・・
日本ではかなり古い時代から使われていて、特に神道では「ぬさ」と呼ばれ
"お清め"をする素材として用いられてきたそうです。麻の中では堅い部類
で、麻縄や麻袋に使われる事も多いようです。
 最近では、一般的な服地の布としても出回っていますが、フラックスに比
べるとやや堅い
仕上がりで、質問なさったお客様も実際に見本を見られて、
やはり「堅い」という印象を持たれたようでした。
 麻は質感が良く、肌に触れた感触が何となく"ひんやり"しているのが魅力
です。この流行が続いてくれる事を願います。

     *   *   *   *   *   *

 先日久々に、お得意様から真っ白の麻のスーツをご注文を頂きました。

◇お客様のスリーピース(ダブル)

〈正面〉                〈ベスト〉
麻正面**   麻べすと**

〈寄り〉
麻 寄り**
・生地は、アルスター・ウェーバーズ(ULSTER WEAVERS)社(UK)製
 の100% Linen (700g)

・夏らしい爽やかな風合いと高級感の相まった、極めて良質な生地です。
ページトップ