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#367.麻の話

Posted by KINN Tailor on 08.2018 生地の話   0 comments   0 trackback
 今年はいつもの夏に比べ、麻服のご注文を多く頂きました。

 昔は「夏と言えば白の麻服」というのが定番で、春頃から麻ばかり仕立て
ていた記憶があります。ところが近年、夏用の「モヘア」(アンゴラヤギの
毛)が増えてきて、麻に比べシワになりにくい特徴があったため、麻に取っ
て代わって使われるようになりました。
 また、全体的に薄い生地が好まれるようになった傾向もあり、ただでさえ
シワができやすい麻は、薄くすると更にシワができてしまう事が敬遠されて
しまったのか…生地その物が減ってしまいました。

 麻の需要が減った時期は、20年位続いたでしょうか・・私は、シワになる
特徴も"味"があって良いと思っていましたので、何となく淋しい思いをして
いたのですが、薄い生地の流行りもどうやらひと段落したのか…最近また昔
のように肉の厚い麻の生地が見本に載るようになりました。
 麻の復活を内心喜んでいたところ、たまたまお客様のご要望と上手くタイ
ミングが合った訳です。

 そんな流れの中で、あるお客様から「大麻」について知りたい…というご
要望がありましたので、少しお話します。
 ひと言で「麻」といっても種類があります。衣料として使われているのは、
亜麻(リネン)、苧麻(ラミー)、大麻(ヘンプ)の3種類です。
 私が今まで扱ってきた麻は亜麻から採れる繊維で「フラックス」と呼ばれ
ている物で、輸入生地では主流のようです。苧麻は日本では良く使われて
いるようで、小千谷縮(おじやちぢみ)などがあります。
 大麻についてはあまり知識がなかったため、少し調べてみたところ・・・
日本ではかなり古い時代から使われていて、特に神道では「ぬさ」と呼ばれ
"お清め"をする素材として用いられてきたそうです。麻の中では堅い部類
で、麻縄や麻袋に使われる事も多いようです。
 最近では、一般的な服地の布としても出回っていますが、フラックスに比
べるとやや堅い
仕上がりで、質問なさったお客様も実際に見本を見られて、
やはり「堅い」という印象を持たれたようでした。
 麻は質感が良く、肌に触れた感触が何となく"ひんやり"しているのが魅力
です。この流行が続いてくれる事を願います。

     *   *   *   *   *   *

 先日久々に、お得意様から真っ白の麻のスーツをご注文を頂きました。

◇お客様のスリーピース(ダブル)

〈正面〉                〈ベスト〉
麻正面**   麻べすと**

〈寄り〉
麻 寄り**
・生地は、アルスター・ウェーバーズ(ULSTER WEAVERS)社(UK)製
 の100% Linen (700g)

・夏らしい爽やかな風合いと高級感の相まった、極めて良質な生地です。


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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