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#331.懐かしい生地屋さんの話

Posted by KINN Tailor on 19.2017 懐かしい話   0 comments   0 trackback
 先日、ある情報誌の中にとても懐かしい名前を見つけました。

 その情報誌では「神戸由緒」と題した特集を組んでいて、神戸の開港から
始まった国際港湾都市の歩みを紹介していました。
 その記事の「ハイカラ文化の源流」という所に、「日本で最初のオーダー
メイドの洋服屋」
として『柴田音吉商店』が紹介されていたのです。
 このお店は、我々オーダーメイド屋で(ある程度年齢を重ねた人であれば)
知らない人は居ない…と言っても過言ではないお店なのです。

 創業は明治16年。初代柴田音吉さんは、日本で最初に神戸で近代洋服の
お店をオープンした英国人の一番弟子
として仕立てを学ばれた方だそうです。
 そしてその後の何代目かの方が、洋服屋とは別に『柴田商事』という会社
を興して生地の輸入を始められました。
 ヨーロッパで大変有名な「ドーメル(DORMEUIL)社」の生地も扱って
おられ、丁度私の店でもドーメルの生地を沢山扱うようになっていたため、
柴田商事さんともだんだん親しくなりました。私が仕事を始めた頃の事です
から、かなり昔の話になりますが・・・。

◇ドーメル(Dormeuil)社の生地見本
ドーメル生地

 会社の正式名称は『柴田商事』なのですが、"柴田音吉商店"の名前の方が
親しみがあったのか…我々の間では「シバオトさん」と呼んでいました。
 平成6年にあるテレビ局からの依頼で、私がお客様の服を一着仕立てる迄
の様子を撮影する
事になったのですが、その中で「生地屋さんに行って見本
を見ながら生地を仕入れる」
…という場面を撮る事になりました。
 そこで、一番親しくさせて頂いていた「シバオトさん」にお願いをして、
八丁堀にある事務所で撮影をさせて貰いました。
 その2~3年後の事だったと思いますが…ある事情から『柴田商事』さんは
事業をやめてしまう事になり、私だけでなく業界の人はかなりショックを受
けた事と思います。

 神戸の洋服屋さんの方は、その後も続けておられている…と聞いていまし
たが、今回偶然記事を読む事ができて、"シバオトさん"との思い出が一気に
蘇りました。
 生地屋さんが居なければ洋服屋は始まりませんが、生地を購入するだけで
はなく、生地屋さんが持っている洋服屋では知り得ない情報を教えて貰った
り、逆に洋服屋も生地屋さんではわからない情報を伝えたり・・・という事
もあります。
 私にとって生地屋さんは、色々相談する事ができる"頼れる仲間"なのです。


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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