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#26.「寸法」について

Posted by KINN Tailor on 23.2011 寸法の話   2 comments   0 trackback
 今回は「寸法」についてお話します。

 現在では日本の服飾業界は「メートル法」で統一されているようですが、
メートル法が施行されるまでは、紳士服は英国流の「ヤード・ポンド法」
婦人服は仏国流の「メートル法」とに別れていました。
 私は最初に外国の本で製図の勉強をしましたので、ヤード・ポンド法を
覚えました。
 紳士服の場合、縫代の量は、基本的に1縫代=1/4インチとされていまし
た(*工場生産品の場合は3/8インチ)。
 製図をする際に、4縫代取る箇所がジャケットやパンツにありますから、
1/4×4カ所で1インチ足せば良い…ということで覚えやすかったですね。

「メートル法」は仏国が主流だったようで、メートル原器(金属の棒に1m
の寸法が刻んである)も仏国にありました。
 1メートルという寸法は地球の子午線(地球の北極から南極を通って1周
する線)の4千万分の1だそうですが、子供の頃の私は、どうやって子午線
の長さを計ったのだろう???…と不思議に思っていました。

 日本には「尺貫法」という計り方があって、これもメートル法の施行前
まではずっと使われていました。
 面白いのは、1尺が2種類あるということです。つまり、大工さんなど
が使っている1尺は「カネ尺」と云って1尺=30.3㎝ですが、服飾関係で
使う1尺は「クジラ尺」と云って1尺=38㎝なのです。
 小学校の時に尺貫法を習いましたが、その頃の物差しは片側にセンチ
もう一方にカネ尺が刻んでありました。
 私は小学校で尺貫法を教わり、仕事ではヤード・ポンド法を覚えました
が、実際に職人さん達とやり取りする際は、皆さんクジラ尺を使っておら
れたので、クジラ尺も覚えなければなりませんでした。
 意外に具合が良かったのは、クジラ尺の1寸はほぼ1インチ半に等しい
のです。ですから換算するのにとても楽でした。
 例えば、ジャケットの両脇にポケットがありますが、この口の大きさは
ほぼ6インチなので、クジラ尺だと4寸になるのです。
 こんな具合でクジラ尺とインチは問題なく両立していた訳です。

 ところが、そこへ突然メートル法が施行され、しかもメートル法以外は
使用禁止!
、メートル以外の物差は販売禁止!…になってしまったのです。
別に"販売禁止!"にしなくても良さそうな気がしますが、どうも日本のやる
ことは少々変だな…と思いますね。
 ところが面白いことに、尺貫法の道具がないと困る人達の為にちゃんと
(?)闇市があって、クジラ尺を売っていたり、布地屋さんなどが内密に作ら
せて、お中元やお歳暮として届けてくれたということもありました。
 罰則がなかったとはいえ、なかなか大胆なことをしたものです。

 とにかく、このメートル法には苦労させられました。学校では習ってい
たものの仕事では使っていませんので、どうもイメージできないのです。
また、職人さんも同様でしたので、説明するのが大変でした。

 最後に・・・日本では、何故カネ尺とクジラ尺があるのでしょうか?
しかも木や金のように硬いものにはカネ尺、布地のように柔らかいものは
クジラ尺
と使い分けるようになった理由は何でしょうか?
 どなたかご存知の方がいらしたら、ぜひ教えて下さい。

呉服屋さんのHPに解説がありました。

尺の起源は中国にあり、手を広げて物差しに当てた長さからきており、長い時代を経て基準が変化してきたとのことです。(ここは西洋feetと同じですね。)

曲(かね)尺は、土木建築用に用いられたもので、周の時代定められた基準が今日まで変わっておらず、曲という字は「まがり」を意味し、中国で使われたのは日本の大工道具の差し金(現在でも建築現場で用いられているL字型の木製や金属製の物差し)だとのことです。

一方、鯨(くじら)尺は裁衣用に用いられた単位で、室町時代に曲1尺2寸をもって呉服尺としたものを江戸時代に入って更に5分延ばし、1曲2寸5分を鯨尺1尺としたとのことです。ここが量尺度の寸法に違いが生まれた理由なのですね。鯨という字は当時鯨の髭が物差しの材料として使われていたことに由来するとあります。
2011.05.28 16:31 | URL | リカルド夙川 #- [edit]
リカルド夙川様

 いつもブログをお読み頂いてありがとうございます。
いろいろとお調べ頂き恐縮しております。
実際に使ってみますと、それなりに便利さがあるので、曲尺も鯨尺も
残っていくのかな・・と思っています。
2011.05.30 10:59 | URL | 服部 晋 #- [edit]


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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