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#274.金洋服店とモーニング その八

Posted by KINN Tailor on 04.2016 礼服の話   0 comments   0 trackback
 父の時代は今とは違い、モーニングを着る機会がずっと多くありました。
結婚式を始め何かの式典の際には必ずモーニングを着たものです。私共の店
でモーニングのご依頼が多かったのもそういった理由=「礼服と言えばまず
モーニングを作る」
という風潮もありましたし、お一人の方が"場に合わせ
るため"
に何着も作られた…という事でした。
 "場に合わせたモーニング"と言うとアスコットモーニングを思い浮かべら
れる方も多いと思いますが、意外にもアスコットモーニングを作られた方は
父の時代にはいらっしゃいませんでした。礼服地ではあるけれども普段殆ど
使われていない生地を使って"場に合わせたモーニング"を作っていました。
 そこで今回は、父がモーニングに使っていた色々な生地についてお話した
いと思います。

 日本ではモーニングと言うと殆どの場合「ドスキン」を使います。確かに
ドスキンはいかにも礼服に向いている生地ではあるのですが、父はそれ程好
きではなかったようで、よく「バラシア」を使っていました。
 私は父と一緒によく生地の展示会や売り出しに行きましたが、父が礼服用
に注文する生地の半分がバラシアで残りが柄物でした。礼服地は無地でない
と…とお思いの方も沢山いらっしゃるようですが、そのような決まりはなく、
私共の店では柄物の生地=例えばマイクロヘリンボン共色の縦縞などもよく
使いました。
 これには生地屋さんが驚いたようで、私の店は柄のある礼服地を使う!…
という事で生地屋さんの間で有名になった程です。
 父は他にもやや"くだけた場"に着て行くモーニングとして、少しツィード
掛かった生地
(例えば4プライなど)も使いました。
「こういう生地は園遊会のような野外での行事にはとても良い」と言って
いました。そしてそんな時の縞ズボンは「チェビオット」のようなツィード
系の糸で作られたちょっと荒い感じの生地を使っていました。
 チェビオットの縞ズボンなどは普通のモーニング用に合わせても良い物で、
私の代になってからもよく使っていたのですが、今は残念ながらメーカーが
あまり作らなくなってしまいました。やはりモーニングを使う機会が少なく
なったという事なのだと思いますが、生地屋さんに探し出して貰って生地が
ある内は作り続けたいと思っています。

 父の話に戻りますが、縞ズボン地として赤や青の色が入った物(細い線)
も使っていました。これはディレクターズスーツのズボンとして使った時に、
ジャケットが黒や濃鼠の場合は赤系の色が入った物、濃紺の場合は青系の色
が入った物がとても馴染みが良く、大変素晴らしくなるのです。…が、これ
も今では殆ど見かけなくなってしまい残念でなりません。

 最後に父が残してくれた生地見本と、珍しく紫色の線が入った縞ズボン
最近作りましたので、その生地を紹介したいと思います。

マイクロ、格子
①マイクロヘリンボンの礼服地(拡大)    ②格子柄の礼服地 
チェピ、紫の縞
 ③チェビオットの縞ズボン地      ④紫の線が入った縞ズボン地

〈つづく〉


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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