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#260.仕事の仕方 その壱 〜玉止め〜

Posted by KINN Tailor on 21.2015 縫製の話   0 comments   0 trackback
 洋服屋になろうとして勉強を始めると、まずは「縫う事」を習います。
 私達の頃は専門学校(当時既にありました)へ通うよりも、いきなり洋服
屋に見習いとして入る方が多かったので、その店の職人さんから習う訳です。
 
 大抵の職人さんの場合、あまり手取り足取り教えてくれる訳ではないので、
大体"見よう見真似"で練習をしていく事になりますし、その職人さんやお店
によってやり方は様々ですから、何が正しい…というよりは、そのやり方を
身に付けて行く訳です。
 そうなると、何気なくやっている事が、他の人とは違う・・・という事が
結構あります。結果的には服がキチンと仕上がっていれば良い訳で、細かい
作業は個々のやり方で良いのですが、敢えてその事を取り上げてみたいと思
います。

「縫う事」で結構違うなぁ…と思ったのが「玉止め」です。
 まず針に糸を通した後、糸の端にコブシという玉を作ります。私は人差し
指に糸を1~2回巻きつけて、親指と人差し指でその糸を絡めて玉を作ります。
このやり方以外はない・・・と言うより他のやり方など考えた事もなかった
のですが、私塾の生徒さんの中に別のやり方をする人が居て、一寸びっくり
しました。
 針に糸を通した後に糸を針に巻きつけて、その部分を糸の端までずらして
いく
と玉ができるのですが、私は何度やっても巧くいきません。彼女は学校
で習ったらしいのですが、このやり方をする生徒さんは他にも居るので、今
はこういう方法を教えている所もあるのでしょう。
 私としては、これを覚えるのに時間がかかり過ぎて、最初の一歩が踏み出
せない感じがしてしまうのですが、皆さん器用なものです。
最初の玉どめ私**
         ⬇      ⬇      ⬇
最初の玉どめ生徒**

 また、縫い終わりにも「玉止め」を作ります。
 縫い終わった所に針を当て、糸を巻きつけて糸を抑えて針を引き、玉止め
しますが、これが結構難しく、なかなか縫い終わりの所にピタッと玉ができ
ないのです。
 小学校の頃は工作が大好きでしたし、成績も悪くなかったので不器用な訳
ではないと思うのですが、この"終わりの玉止め"には苦労させられました。
最後の玉とめ**
 そして、この"終わりの玉止め"をした後に、大体の職人さんは玉が表から
見えないように生地の中に入れて糸を切ります。私も最初の内はこのやり方
が良いのだろうと思って、終わりの玉を潜らせていました。ところがある日、
この玉止めで意外な経験をしたのです。
 お直しをしようと糸を解いている時に、生地の中に潜ってしまった玉止め
が上手く取れず、無理に取ろうとすると生地に穴が開きそうになった・・・
という事があったのです。
 これは生地の厚さやどこに玉が潜っているか…によるのですが、縫い始め
の玉は生地の裏側にありますから問題ない訳ですが、最後の玉はそれがどこ
に潜ったかがハッキリとはわかりませんので、こういったことが起きたのだ
と思います。

 私は父から「しっかり縫う事は基本だけれど、上手く解ける…という事も
大切なのだよ」と教わった事があります。
 それ以来私は、最後の玉止めは潜らせずに糸だけ潜らせて終わらせるよう
にしています。玉は表から見えない方が綺麗ですので、どちらが良いという
事ではありませんが、これも其々の「仕事の仕方」という事なのでしょう。

 次回、本年最後は「無駄針」を取り上げようと思います。



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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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