Loading…

#235.仕事の勉強の思い出 その二十 ~チョッキ①~

Posted by KINN Tailor on 22.2015 修業時代の話   0 comments   0 trackback
 この絵に書かれている物の呼び方は色々あります。
ベストの絵**

 「ベスト(Vest)」と呼ばれるのが一般的で、これは米国流です。英国流
には「ウエストコート(Waistcoat)」、そして我々の年代は「チョッキ」
と呼ぶ人が圧倒的に多かったです。
 「チョッキ」は何故そう呼ぶのか判らずに使っていて、仲間も「チョッと
着るからチョッキなのさ」などとフザけた事を言っていた位で、あまり気に
もしていませんでした。
 ところが3年位前にどうしても調べなければならなくなって辞書を捲って
いたら、何と広辞苑に次のように載っていました。
 【チョッキ[Jaque](フランス・ポルトガル)】・・正確な発音はわか
りませんが、きっと日本人が聞いて発音をしている内に“チョッキ”になって
いったのではないかと思います。

 さて仕立ての仕事を習う順序ですが…最初にパンツ、次にチョッキ、それ
からジャケットと進んで行くのが普通ですが、私はジャケットを先に勉強し
たのでチョッキが後になりました。私が勉強を始めた頃は、スーツは殆どが
スリーピースでしたのでチョッキを作るのが当たり前で、私の店にもチョッ
キ専門の職人さんが居たくらいです。
 チョッキとジャケットは、最初にダーツを取ってからポケットを作るので
すが、ジャケットはポケットを作ってから芯を据えるのに対し、チョッキは
芯を据えてからポケットを作ります
。当時は芯に厚手のシーチング(木綿地
の芯)を使っていました。
 余談になりますが…芯にシーチングを使う事には何の疑問も持たずにいた
のですが、チョッキを作るようになって5年位経った頃フッと「ジャケット
と同じように毛芯ではいけないのかな?」と考えるようになりました。毛芯
シワになっても自然に戻るのですが、シーチングは綿なのでシワは自然に
は戻らないのです。
 チョッキはジャケットに比べ身体にぴったり付けて着ますから、少しでも
シワにならない方が良いと思って、それ以来私の店では毛芯を使うようにな
りました。

 さて話を戻しますと・・・御存知の通りチョッキにはポケットが沢山付い
ています。私の店では普通両前に2個ずつ付けましたので、合計4つ作る事に
なります。チョッキに使う箱ポケット玉縁ポケットよりも少し手間がかか
りましたので、最初の内はポケットを作るのにかなり時間がかかってしまい、
ポケットができると何となくチョッキも完成したような気になったものです。
ポケットが仕上がると、次に"前の端"を作りにかかります。
 ここからは幾つかのポイントで、私の店独特の縫製の仕方を勉強する事に
なりました。

 前の端については「#55.前突きオーバーコート」で説明したのと同じ方法
で、端が薄く仕上がるように、身頃と見返しの縫い合わせの位置をずらして
内側に入った所になるようにする方法でした。これは英国式の仕事なのです
が、最初に教わった時には「布1枚薄くする事がそんなに影響があるのかな
?(端で縫い合わせると布は4枚重なるが、内側にずらした所で縫って割る
と、端の重なりは3枚になる)」と思ったのですが、実際にやってみると、
布1枚でも効果があるもので、「なる程!…よく考えてあるな」と感心した
ものです。
ベスト前の端**
 この続きは、次回お話する事にしましょう。


  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://kinntailor.blog98.fc2.com/tb.php/333-841b5021

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR