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#233.仕事の勉強の思い出 その十九 ~初めての採寸~

Posted by KINN Tailor on 08.2015 修業時代の話   0 comments   0 trackback
 裁断がある程度できるようになった頃(私は20歳位でした)に、父から
「そろそろお客様の応待を勉強しなさい」と言われ、父が仮縫いをしている
時に傍に居てピンを渡したりするようになりました。
 その内、馴染みのお客様(私が小さい頃から色々話をしたり可愛がって下
さった方々)に父からお願いして採寸の練習をさせて頂くことになりました。
 どなたもとても気持ち良く受けて下さったのですが、同じ箇所を何度か計
るとその都度寸法が少しずつ違ってしまい、ポイントをどこからどこまで…
と定めるのがなかなか上手くいきませんでした。

 当たり前の話ですが、採寸は製図するために行う訳で、自分が製図をする
時に必要な数値が計れていればそれで良いのです。ですから人によって計る
箇所や緩みの加え方が違っても構わないのです。
 父の採寸方法はどちらかと言えば細かくはなく、私が勉強していた短寸式
とはかなり違いましたが、父から緩みの入れ方などを手解きしてもらいなが
ら、家族や職人さんにモデルになって貰って練習しました。

 そんなある日、新しいお客様からのご注文が入ったのですが、あいにく父
の都合が悪かったため私が代わりに伺う事になりました。
 何しろ初めて一人で訪問するという事態にかなり緊張していた上に、お客
様が米国人という事でしたので一体どうなる事だろう…とハラハラしていま
したが、お会いしてみると日本語もお話しになられたので安心しました。
 そして、父から渡されたメモと私が教科書から抜粋した採寸箇所を書いた
紙を頼りに、無事(何とか)採寸を終えて帰って来ました。

 戻ってすぐに製図をして、でき上がったパターンの寸法を計り直してみた
ところ、まぁ何とかなりそうだったので、続けて裁断をしました。採寸時に
胴周りが一寸気になっていたので、いつもより少し多めに縫い込みを付けて
鋏を入れました。
 それから1週間位して父と一緒に仮縫いに伺いました。結果はやはり気に
なっていた胴周りが少し小さかったので、「縫い込みを沢山付けておいて良
かった・・・」と胸を撫で下ろしたものです。
 この時は縫い込みのお陰で大した問題もなかったので、自分でもさほど気
になっていなかったのですが、実際にはこの時の事がかなり頭に残っていた
ようで、その後何人かの新しいお客様を採寸した際に、胴囲が少し大き過ぎ
る事がありました。
 そこでもう少し正確に計れる方法はないものかと思案して、ゴムのテープ
に動かせる金具を付けた物
を作り、それを胸と胴に巻いてポイントに金具を
動かして計る
・・・というやり方を試してみました。
 これがなかなか上手くいきました。古株のお客様の中にはこの新しい採寸
の仕方をとても面白がって下さる方もいらっしゃったのですが、結局は経験
を積む内にこのようなテープがなくてもポイントがわかるようになったので、
必要なくなりました。
 この特性テープは今でも健在で、私塾の生徒さんに採寸の仕方を指導する
時に役に立っています。 

採寸用テープ
・テープを巻き、金具をポイントに移動させる
・ポイントまで正確に計る事ができ、ポイントがどこかを覚える事ができる


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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