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#231.仕事の勉強の思い出 その十七 ~袖③~

Posted by KINN Tailor on 25.2015 修業時代の話   0 comments   0 trackback
 袖を作る作業で結構手間がかかるのが、袖口です。
 袖口にはいくつかの種類があります。

袖口の種類

 私の店は穴を開ける開けないに拘らず、"本開き"に仕上げる…と教わった
ので実際にでき上がった服の袖口を見てみると、私が本で勉強したやり方と
は少々違っていました。
 本に載っていた本開きは、袖に折り返しを付けて裁断し、折り返しを折っ
て袖口を仕上げてから穴を開ける方法でした。ところが私の店では、穴を開
ける所に生地を付けて裁断し、そこを内側に折って穴を開けます
穴を仕上
げてから袖口の折り返しを穴が塞がらないように斜めに折って仕上げます。

折った所が穴にかかってしまう場合は、縫い付けずに浮かせておく…という
方法でした。

袖口の作り方**

 この作り方はかなり手間がかかるやり方で、教わった頃はどうにかもう少
し作りやすくできないものか、色々考えました。
 例えば…最後に袖口の始末をするのではなく、山袖と下袖の後ろ側だけを
縫ったところで先に穴を開けたらどうだろう・・・と思い試してみましたが、
後から袖の前側を縫ってアイロンで縫目を割る方が余程大変だったので諦め
ました。
 この本開きの方法は英国流だそうで、後から袖を長くする事ができる仕上
げ方
なのです。最近でこそあまり聞かなくなりましたが、英国では自分が着
ていた服を息子に譲るという事が良くあったようで、だいたい子供の方が背
が高い事が多かったので、袖の長さを出せるようにしていたのだそうです。
 ですから穴を開ける時も全部開けるのではなく、例えば4つ開けるとする
と、2つだけ開けて後は飾りにしておきます。そうすれば長くした時に飾り
のかがりを取って新しい穴を下に開ければよい
訳です。
 誰が考えたのか知りませんが、なかなか上手いやり方だな…と思いました。
当時のツィードなどはとても固く、2代目が着る頃に丁度身体に馴染む…と
云われていた位ですから、実際に親から子へ・・・という事が行われていた
のだと思います。
 私共の店でも、親御さんの服を直して着る方が多くいらっしゃったので、
この本開き仕上げのお陰で袖を長くする事ができた例は多々ありました。

 袖口作りで面白いと思ったの事があります。かなり後になってイタリアの
服が流行り出した頃の事ですが・・・袖口の釦の位置が英国流だと一番目の
釦が袖口から2.7cm〜3cmの所にありますが、イタリア流だと4cm位から
始まります。また釦同士を少し重ねたりする事もありますし、穴を開ける時
は英国のように上2つを開けないという事はせず、全部開けます。
 お国柄によって微妙な違いが出ていて、実に面白いと思ったものです。


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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