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#230.仕事の勉強の思い出 その十六 ~袖②~

Posted by KINN Tailor on 18.2015 修業時代の話   2 comments   0 trackback
 袖を作るための採寸方法は色々あります。
 袖の長さを決めるための採寸も、一般的には山袖側を計る…つまり肩の上
から手首まで計る方法と下袖側だけを計って山袖側を割り出す方法、そして
英国流の方法(図a.)があります。英国流は鎌深の1/2の所からスタートして
腕の後側を通り、肘を曲げて手首まで計るので、正に腕の動きの寸法を計る
方法です。

 最初私が勉強した本は、下袖を測って割り出す方法でしたが、色々と試行
錯誤した結果、山袖丈下袖丈、そして英国流の肘を通る寸法(これを
計る時の形から"L寸"と呼ぶ事にしました)の4つを使う事にしました。

袖㈪ 図a**

 次に山袖と下袖の形を描くためにアームホールの大きさを計ります。
 前回お話ししたように、アームホールを細かく分けて採寸する事にしたの
ですが、ここからの難問は"袖山の形をどう描くか"・・・でした。
 普通は山の一番高い所が肩の縫目に合うようにします。この方法は袖を付
けた時に山の前側が綺麗に膨らみ、袖下がりが美しくなります。
 私は更に前肩にしたかったので、このカーブのままイセ込む所を前に動か
して付けてみたところ、袖が引っ張られて斜めのシワが出てしまいました。
 そこで山の一番高い所を前になるように描いて付けてみると、前肩にはな
るのですが山の前側の膨らみが少なくなってしまい、袖が綺麗に見えません。
袖㈪ 図b**
 そこで父に相談してみたところ、一寸面白いアイデアを出してくれました。
それは、膨らませたい箇所に余分に布を付けておいて、それを折って一緒に
イセ込む
…というものでした。布を厚くして膨らむ力が強くなるようにしよ
う・・・という訳です。
袖㈪ 図c**

 なる程!これはなかなか良いのではないか・・・と早速試してみました。
ところが、確かに袖山の前の膨らみは強くなるのですが、カーブしている所
を折る…というのがとても難しく、苦戦しました。綺麗に折れないのだった
ら布を切って重ねてイセ込んだらどうか・・・とも思ったものですが、それ
だったらマウントロール(袖の山を綺麗に膨らませるために入れる裄綿)を
少し大き目にすればいいじゃないか・・・という結論に落ち着きました。

 父の案はとてもユニークだったので、一寸残念に思いましたが、このよう
"何でも試してみる"…というのを修行時代からやらせて貰えていたのが、
後の私流の新しい方法を考える礎になっているのだろうと思いますし、こう
した試行錯誤自体が、どれも楽しく大切な思い出でもあるのです。


服部先生の本の製図で質問があります。
54ページのやり方で 袖の製図をしたら
袖のアームホールが 見頃の アームホール ➕ 10センチ
で出来上がります。
それで良いのですか?
2016.02.07 13:26 | URL | chokikata #- [edit]
chokikata様

質問ありがとうございます。
身頃のアームホールの寸法ですが、断ち切り線を計っていると思います。
製図した袖の寸法も断ち切り線を計っていると思います。
身頃は断ち切りから7mm内側を縫うので、縫うところが計った寸法よりも大きくなります。
逆に袖は縫うところが内側に入ると小さくなります。
ですので、10センチ大きいといっても、実際には5センチ位大きいことになり、
袖のいせ込み(山袖3センチ位 下袖が2センチ位)を考えると丁度良くなる
と思います。


2016.02.08 12:15 | URL | 服部 晋 #- [edit]


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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