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#219.仕事の勉強の思い出 その六 〜芯据え〜

Posted by KINN Tailor on 23.2015 修業時代の話   0 comments   0 trackback
 今回は"芯据え"のお話です。

 身頃にダーツを取り、ポケットができるといよいよ芯据えにかかります。
身頃に対して芯はほぼ同じ形をしているのですが、最初は一体どこを基準に
して据えていけばいいのか迷いました。
 職人さんに聞いてみると「返り線とボタンの位置を合わせ、よくしごいて
据えるんですよ」と言われました。この、よくしごく…という言葉が何だか
不思議に聞こえたのですが、とりあえずやってみました。
 何でもそうですが、最初は言われた通りにやるので精一杯、何故そうする
のか?、何故そうする必要があるのか?…というのはわかりませんし、職人
さんですから、そういった説明は一切ありませんので、とにかくやってみる
しかない訳です。
 そして、だんだん芯据えに慣れるに従って、この"しごく事"の大切さが理解
できるようになりました。

 据え方は、芯の上に身頃を乗せて身頃側をしごくのですが、身頃をしごく
事によって芯側に少しゆとりができる事になります。初めの内は、身頃と芯
がピッタリくっついていないと表地が膨らんでしまうのではないか?…と気
になったのですが、実際に服を組み立ててみると、内側にゆとりがあるから
綺麗に仕上がる
…という事がわかったのです。
 そして、このゆとりこそが、動く服としてとても大事な事なのだ…という
考えにつながっていきました。
 私の店で作っている服は、特に動いた時の美しさを追求していますので、
この事が特に大切だった訳です。

 そして、このしごく事の次に大切なのが、身頃と芯を据える時の一番最初
に縫う1本の躾糸の位置
だ…という事もわかりました。
 芯を止めるために入れる躾糸の数は多くありません。なぜならその後芯に
は、ポケットの口を差し込むために切り込みを入れたり、ポケットの袋を止
めたりするので、あまり躾を沢山入れてしまうと、そうした作業がしづらく
なってしまうのです。
 でも、そうした作業の時に芯がずれてしまっては困るので、最初の1本
とても大切になる訳です。
 私の教室でも芯据えを教える時は「最初の1本の躾打ちが急所だよ!」と
やかましく言うようにしています。
 一般的なイメージとして、しっかりとした芯が表地にピッタリくっついて
綺麗なラインを出している・・・と思われているかも知れませんが、実際は
表地に比べると芯地の方が伸縮性が少ない素材ですから、ある程度のゆとり
を持たせて据えないと、表地の伸び縮みや動きの妨げになってしまうのです。
"芯作り"に続き、"芯据え"も、とても奥が深いものなのです。

芯据え**
芯据えのイメージ


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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