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#218.仕事の勉強の思い出 その伍 ~出来芯の話~

Posted by KINN Tailor on 16.2015 修業時代の話   0 comments   0 trackback
 また暫く修行時代の話を続けたいと思います。

 芯作りが割と上手く出来るようになった頃(昭和25年前後の事だったと思
います)、服飾関係の新聞に"出来芯"の広告が掲載されました。
 芯作りは結構難しい作業ですし、作るのに時間もかかりますので、既製の
が使えると仕事の効率が上がって助かると思いました。但し、私共の店で
作っている芯と同じような物が果たしてあるのか?…がちょっと疑問でした
ので、とりあえず1組購入して調べてみる事にしました。
 その出来芯は(広告にあったように)なかなか良く考えて作られていまし
たが、やはり材質的には少し落ちるのと、膨らみの出し方などに問題がある
ようでした。
 私共が使っているような芯を作ってくれる所はないものか・・・と思い、
父にその話をしてみると、「引き受けてくれる所を探して試してみなさい」
と言われました。
 そこで出入りをしている付属屋さんに相談をして、芯を作ってくれるお店
を探してもらい、試作してもらう事になりました。
 私の考えた出来芯は、胸の膨らみの位置腰の絞りの位置簡単に動かせ
るように工夫した物
で、かなり難しい細工であった筈なのですが、とても良
くできていました。特注品ですので値段的には結構しましたが、とりあえず
30枚程作ってもらい、色々な体型の方に使ってみたところ、案外上手くいき
ました。
 ただ、もう少し手を加えた方がより良くなると思ってその改良版を考え、
もう少し複雑な作り方で依頼したところ・・・「実はこの前の芯もとても
難しくて、やっとできたのですが、今度のはもっと難しいようなので、勘弁
して下さい…」と断られてしまいました。
 当時の出来芯は台になる芯にバス芯スレキネルなどの生地を足して
の形
を出していました。私共の場合は台になる芯とバス芯だけで作ります。
この方が固くなり過ぎず、しなやかでどんな形にでもなる芯になるのです。
 芯屋さんは最初、私共の芯は材料が少なくていい…と思って引き受けて下
さったそうですが、作るのにとても手間が掛かるので大量生産には向かない
…という事になったようです。
 結局、自分の店用の物は手作りでないと無理…という事がわかったので、
出来芯を作る事は諦めました。それ以来、今でもその都度芯を作っています。

 芯を作り続けて来て思う事は、芯はとても奥の深い物で、服作りにとって
誠に大切な要素の一つである…という事なのです。
 自分で作っているからこそ、お客様の体型やその時の流行に応じた作り方
をする事ができますし、それを続けて来た事によって、ある程度の体型には
対応できる芯なども考える事ができ、その結果…Equalityを誕生させる事も
できた訳です。
 結構無駄な事も沢山やりましたが、何でも挑戦して、それを続けていけば
それなりに得る物があるのだな…と思ったものです。


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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