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#215.仕事の勉強の思い出 その四 ~芯作り~

Posted by KINN Tailor on 26.2015 修業時代の話   0 comments   0 trackback
 また修業時代の話を少しさせて下さい。

 #210(12/18)でご紹介したように、ポケットなどのパーツ作りが大分
できるようになったので、次は"組立"の勉強に入りました。ジャケットを作
るためには芯が必要ですので、まずそれから始めました。
 私が勉強を始めた頃は、主に麻の芯を使っていました。麻の芯には糊が付
いていますので、まず水の中に30分位漬けてから洗って乾かし、アイロンで
シワを伸ばしてから使います。「随分と手間のかかるものだな〜」と思った
ものです。
 その後は、だんだん毛芯(ウールの芯)を使う事が多くなりました。毛芯
は麻芯と違って洗わなくても使える事、シワになってもひとりでに元に戻る
性質で扱い易いため、どんどん普及していきました。
 芯は、ジャケットの前身頃をしっかりさせるためとポケットなどを支える
ために入れますが、もう一つ、ハラミを出す…という役割があります。その
ため、芯にはダーツを入れるのですが、これがなかなか難しい事でした。
 芯に鋏で切込みを入れて、それを細いテープで繋ぐのですが、今のテープ
のように接着剤が付いていませんし、芯自体に力がある・・・つまり張りが
ある
ので、切込みを綺麗に合わせてテープを付けるのに大変苦労しました。
 テープを当てた後は、その上をミシンでジグザグに縫って止めていくので
すが、職人さんたちの仕事を見ていると、押さえ金をちょっと浮かせておい
て、半分滑らせるようにジグザグにミシンをかけているのです。私はとても
そんな芸当はできませんでしたから、ミシンの返し縫いを使ってかけました
が、ジグザグが長くなったり短くなったりしてしまいました。
 今は"首振りミシン"という文明の利器?がありますので、そういった意味
でも楽になりました。

イラスト1**

 芯を作り始めた頃は、それこそ沢山失敗して随分汚い縫い目の物を作りま
したが、それでも数を重ねていく内にいつの間にか綺麗にできるようになる
のは不思議です。

 さて毛芯が仕上がると、その上にバス芯を載せて八刺しで止めます。バス
芯は下の毛芯よりも固めで張りの強い毛芯ですが、昔はバス(馬の尻尾)で
できた物を使っていました。ところがバスだと使っていく内にどんどん毛が
抜けてしまい上手くないという事で、名前だけが残り固めの毛芯を使うよう
になったのです。
 バス芯にもダーツを取り止めて行くのですが、ちょっと驚いたのは、結構
荒い刺し目で良い…という事でした。私は細かく刺していかないとダメなの
だと思い込んでいたのですが、そうではなく、細かさよりも大切なのは糸を
引く強さを揃える…という事でした。
 2枚の芯は固さが違うので、それぞれを活かすためには、細か過ぎず適度
緩さで縫わないといけなかったのです。
 この「適度な緩さ」・・・というのは芯作り以外でも大切な事で、そう
しないと良い服にはならないという事を、その後繰り返し教えられました。

イラスト2**


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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