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#213.書き初め

Posted by KINN Tailor on 12.2015 懐かしい話   0 comments   0 trackback
書き初め
 私が子供の頃は「塾」というものはありませんでしたので、習い事と云え
ば、もっぱら「そろばん」「習字」でした。

 書道教室は沢山あって、私も姉や兄が通っていた教室に小学校4年位から
通い始めました。教室は普通の民家の2階の和室でしたが、比較的広い家で
机が幾つも並べられていました。
 教わり方は今と変わらず、お手本を見て何枚か書いては先生の所に持って
行き、赤墨で直してもらう…というのを繰り返していました。ただ、書道の
本のような物は使わず、先生が直接書いて下さった字を見本としていました。
 当時は "お正月に書き初め" をする事がごく当たり前のように行われており、
この教室でも1月に「書き初め会」が催されました。この時は先生の自宅で
はなく、大きな会場を借りきって行われていました。

 毎年何か趣向を凝らしたものを会の最後に行うのですが、ある年の試みと
して七文字の漢詩(七言絶句)を書く事になりました。それは長い紙に七名
が一文字ずつ書いていき、掛け軸の形に仕上げる…というものでした。その
時、私は確か5年生だったと思いますが、その七人の一人として一文字書く
事になりました。
 先生が七文字の中から好きな文字を選ばせてくれましたので、やさしい字
の方がいいと思い、「示」という字にしました。それからはお稽古に行く度
に「示」という文字ばかりを練習して、いよいよ会を迎えました。
 いざ当日舞台に上がってみると、会場の雰囲気にすっかり飲まれてしまい、
身体が物凄く熱く感じて・・・すっかり緊張してしまいました。
 長い半紙は普通の半紙をいくつか繋げて作ってあり、それに一文字書く大
きさの目安になるように薄く折り目線が入っていました。私は4番目の文字
の担当でしたが、すっかり緊張していたためか、折り目線と半紙の繋ぎ目を
間違えてしまい、本来書く筈の大きさよりもやや小さい文字になってしまい
ました。七文字書き終わった段階で遠くから見てみると、自分の書いた文字
の長さが少し足りないように見えましたが、そんな事よりは取り敢えず書き
終えた…という安堵感の方が強く、ホっとしたのを覚えています。

 後になって、画数の少ない簡単な字はバランスを取るのが難しい…という
事がわかり悔やんだものです。ただこの時のお陰か、そのまま書道を習い続
けたためか、今でも筆で字を書く機会には、あまり緊張する事もなく書く事
ができます。子供の時にできることは何でも経験しておくものなのだな…と
思います。

 因みに、私のは中学生位(昔は中学と高校併せて5年間でした)の時に
「麗日発光華」という字を書いて東京市長賞(まだ東京が市でした)を受賞
し、「京華」という号を頂きました。
 同じ教室に通っていたのに・・・才能がある人は違うものですね。


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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