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#210.仕事の勉強の思い出 その参 ~モミ玉~

Posted by KINN Tailor on 22.2014 修業時代の話   0 comments   0 trackback
 紳士服の上着には裏ポケットが付き物で、普通は左右の胸に1つずつ作り
ます。裏ポケットの位置は、丁度見返しと裏地が半々になる所で、その両方
にまたがるようにポケットの口を作る事が多いようです。

 私共では後で裏地を取り替えるという直しにも対応するために、見返しに
お台場(ポケットの口を作る所)となる生地を付けて裏地の方へ出し、その
上にポケットの口を作ります。

モミ玉写真**

 ポケットの口は"玉縁"にしますが、玉縁も両玉縁南京玉縁モミ玉縁
3種類あります。作り方としてはモミ玉が一番難しい…と言われていますが、
私はモミ玉が一番好きです。

玉縁種類**

 裏作りの勉強を始めるまで、裏ポケットの存在を意識した事があまりあり
ませんでした。
 最初に見たのがこのモミ玉だったのですが、綺麗ではありましたがとても
口が細いのに驚きました。何枚か練習をして、職人さんから「合格です!」
と言われた時にはとても嬉しかったのですが、このモミ玉を作るのには向き
不向きがあるように思います。
 勿論沢山練習すれば作れるようになると思うのですが、手先が器用だから
上手くできるという訳でもないようなのです。私が思うにはいかにミシンを
細く真直ぐ
にかけられるか…が一番のポイントだと思います。
 ミシンは真直ぐかかるものでは?…という方もいらっしゃると思うのです
が、これがなかなか・・・実際には結構難しい事なのです。
 あとは布の返し方など…ちょっとした事で上手に説明できませんが、巧く
できる人は割と早くできてしまう気がします。幸いに私もその内だったので
助かりましたが、私共のようにモミ玉中心の店で、それができなければ大変
困った事になったろうと思います。

 さてモミ玉の作り方ですが、下図のように口の両側に2つに折った裏地を
ぴったりと並べて
置き、ミシンの目をできるだけ細かく設定します。そして
口となる所のできるだけ近くをミシンで縫い、間を切って口にします。裏地
はとてもほつれやすいのですが、ほつれない程度に細く2本ミシンをかける
のがコツという訳です。
モミ玉作り方**

 後は口布を返して指先でモミながらできるだけ細く玉縁を作っていきます。
そして、上からもう一度ミシンで口の周りを押さえると完成…となります。
 モミ玉の場合は口を細く仕上げるのが良い訳ですが、裏ポケットというの
は意外と使用頻度が高いので、丈夫でなければなりません。モミ玉の口布は
2つに折った物を使い、それが返されるので4重になっています。そして細く
ミシンをかける
事で固くなりますから、とても丈夫なのです。
 但し裏ポケットを見返しと裏地にまたがって作る場合は、モミ玉は作れま
せん。お台場の生地が芯になってくれるのでモミ玉ができる訳で、裏地だけ
の場合はほつれやすいので不向きです。またツィードなどのように、厚手の
生地の場合も向きません。
 私が修行していた頃はスーツのご注文が大層多く、私も勉強をするという
よりはモミ玉を作る機会が非常に多かった…という訳で、モミ玉が好きなの
かも知れません。



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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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