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#209.仕事の勉強の思い出 その弍 ~ポケット作り~

Posted by KINN Tailor on 15.2014 修業時代の話   0 comments   0 trackback
 切躾躾縫いが上達すると、次に"まつり縫い""千鳥縫い"などを勉強し、
続いてパーツ作りに入ります。

 まずポケットを作る事から習いました。ご存知のようにポケットには"玉縁
ポケット"
"箱ポケット"があるのですが、私の場合は両方の材料を渡された
ので一度に2種類のポケットを勉強しました。ポケットは生地に穴を開けな
ければなりませんし、前身頃に作るものですから非常に目立ちます。失敗は
許されないので最初はドキドキしました。
 まず玉縁ポケットですが、ポケットの口になる部分を切ってそこに布を巻
き付けて
仕上げます。ポケットの端から端まで同じ太さで玉縁を仕上げなけ
ればなりませんので、口に沿って慎重にミシンをかけ、角の所がスッキリと
仕上がるように鋏を入れなければなりません。
ポケット玉縁**
 この鋏を入れる瞬間が一つの勝負なのです。ミシンをかけた所まできちん
と鋏が入ってなければならないのですが、切り過ぎてしまっては大変なので、
よく見て一気に切らないとなりません。
 次にアイロンで縫い目を割って玉縁を作ります。このアイロンも、角まで
きちんとかかっていないと綺麗にならないので苦労しました。それと玉縁を
留める時、私の店では所謂"落としミシン"をしないで手で掬って留めるので、
これも練習が必要でした。
 今、塾の生徒さんを見ていても結構苦労しているところのようで「玉縁が
太くなりすぎてタラコみたいになってしまった・・・」などと言っていた人
もいました。ミシンや鋏の入れ方も大切ですが、玉縁の場合は布を返して留
める時の手加減
で仕上がり具合が大きく左右されますから、一にも二にも
をこなす
しかない・・・と思ったものです。

 一方箱ポケットの方ですが…こちらは切り口の上にポケットの口を作って
いくので玉縁より楽そうな気がしますが、そうでもないのです。箱ポケット
は口布の幅があるので、模様のある生地の場合は柄合わせをしなければなら
ないからなのです。
 特に胸ポケットの場合は角度がついていますから、柄を合わせるのに微妙
な調節が必要です。ところが職人さん達は慣れたもので、あっさり柄合わせ
をやってしまうのです。何かコツがあるのだろうと思って聞いたのですが、
「自分なりの目印の付け方を考えるといいよ」というヒントをくれたので、
なるほど!…と思い色々と考えてみました。
 その結果は・・・多分、皆さん同じような事をされていると思うのですが、
このやり方を採用しています。
 通常生地にチョークを引く時は布を裏側にしますが、それだと柄がわかり
にくくなってしまうので、ポケットの切り口に口布を表側にして載せて柄を
合わせながらチョークを引く
のです。初めてこの方法で楽に柄合せができた
時は嬉しくなりました。
 特にこれがBest !…という方法はないのですが、箱ポケットの柄合わせに
は大いに苦労させられた思い出があります。
 私共の店ではベストには殆どの場合ポケットが4つ付きます。ベストは特
にポケットの存在感が大きいので、この4つの箱ポケットが完成すると概ね
仕事が終わったような気になって元気が出て来ます。昔、箱ポケットで苦労
した事が少しトラウマになっているのかも知れません。
ポケット柄合わせ**
 玉縁ポケットと箱ポケットはどちらが難しいのだろう・・・と考えてみる
と、私は箱ポケットの方が難しいように思います。それは恐らく、私の中に
「箱ポケットは"見せる"要素が強い」という気持ちがあるからなのではない
か…と思います。


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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