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#207.お客様の生地見本

Posted by KINN Tailor on 01.2014 生地の話   2 comments   0 trackback
 生地見本の話も回を重ねてきましたが、最後に一寸変わった見本をお見せ
したいと思います。

 父が店を開いてから暫くの間は英国のジョンクーパー(John Cooper)
いう店の生地を主に使っていました。ジョンクーパーの日本のエージェント
は、英国から生地を1反ずつ買っていて(60mなので約20着分)、父がその
見本の中から選んで注文する…という方法でした。つまり、どの生地を仕入
れるかをエージェントが決める訳です。
 当時は注文をしてから生地が届く迄に3~4ヶ月かかりましたから、このよ
うに仕入れてある生地を使うのが一般的でした。
 後年私も一緒に仕事をするようになってからは、取引きするエージェント
も随分増えました。その中でもドーメル(Dormeuil)社は、大きな展示室を
借りて「ショートレングスの会」という催しを頻繁に開いていました。これ
は、今のバンチ(生地見本)より少し大きな見本を見て、気に入った生地を
1着分ずつ注文する事ができる
…というものです。注文した生地が手元に来る
のにはやはり3~4ヶ月かかるものですから、夏の会では冬物を、冬の会で
は夏物を注文する訳です。
 勿論,大手の洋服屋さんはこの会でも1反ずつ注文したりするのですが、
大元(…と言うと変ですが)から自分たちで生地を選べるというのが魅力的
でしたし、ドーメル社もこの会は特別!…という扱いでした。

 私共の古くからのお客様のT氏は生地を見るのが大変お好きな方で、この
ショートレングスの会にとても興味を持たれていました。「是非一度一緒に
に行ってみたい!」とおっしゃるのでご一緒する事にしました。
 すると、会場では生地を端から端まで…それはそれは熱心にご覧になり、
数点をご注文されました。その熱心さからか、まとめて注文されたからなの
か・・・ドーメルの方から「貴方様の口座をお作りいたしましょう」と言っ
てくれ、T氏は直接仕入れができるようになったのです。
 注文した生地その物が届く前に、注文した店の名前が入った生地見本が届
くのですが、T氏の場合は、通常KINN Tailor となっている注文主の名前の所
がご自身の名前になっています。
 では、選ばれた生地のいくつかを紹介しましょう。

 まず「シャークスキン」です。最も基本的な柄の一つで英国調の服を作る
時に真っ先に選ばれる柄と言われています。普通の生地は右上から左下に向
かって綾がありますが、シャークスキンは逆方向に流れています。ピンヘッド
(Pinhead)
という別名もあります。

1シャークスキン
シャークスキン

 次に「ギャバジン」です。レインコートや替えズボン用に使われています。
日本ではクレバネットと呼ばれる事もありますが、これは間違いで実は防水
加工の発明者の名前なのです。レインコートに防水加工を施す事が多かった
ので、どこかで間違われて使われてしまったようです。

2ギャバジン
ギャバジン

 最後は「ポップサック」です。ざっくりした織り方が穀物の袋のようなの
で、この名前が付いたのだそうです。
 T氏はご自身の物だけでなく奥様の生地も選ばれていたので、紳士服屋が
普通選ばないような華やかな柄や色を直に選べたのが良かったようです。

3ポップサック
ポップサック

 紹介した父やT氏の生地見本は、店を掃除していた時に見つけた物です。
私は普段からあまり整理整頓が上手でなく、なかなか物が捨てられないので
すが、それが幸いしたかのような…懐かしい物でした。

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2014.12.05 03:05 | | # [edit]
「服部晋の製図」本をご注文いただきましてありがとうございます。
お手数ですが、kinn_tailor@w6.dion.ne.jp
もしくはsh0324_seizu.equality@ab.auone-net.jpへ
ご連絡ください。
詳細をお送りいたします。
宜しくお願いいたします。
2014.12.05 15:54 | URL | Equality出版 #- [edit]


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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