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#20.ビンテージ・クロス

Posted by KINN Tailor on 11.2011 生地の話   2 comments   0 trackback
 ここ数年、“ビンテージ・クロスを使って服を作る”…という方がとても増
えています。
 "流行り"ということでもないのでしょうが、とても粋な試みだと思います。
では「ビンテージ・クロス」とは一体何でしょう?

 ワインにビンテージ物があるのを、皆さんはよくご存知だと思います。
 適度な寒暖差と天候に恵まれ、良い葡萄が収穫できた年を「ビンテージ・
イヤー」と呼び、その葡萄で作ったワインを「ビンテージ・ワイン」と呼ん
でいますね。
 羊毛も天然物ですから、当然"でき"の良い年とそうでない年がある訳です。
つまりワイン同様、「ビンテージ・イヤー」の羊毛で織った布地が「ビンテ
ージ・クロス」
と呼ばれているのです。

 羊毛も木材と同様に、何年もかけて枯らして(涸らして)やると品質が良
くなる
性質がありますから、採れた年に全てを使ってしまわず、一部はスト
ックしておきます。そして何年か経ってから、○○年モノの毛と○○年モノ
の毛をブレンドして別種の製品を作る…という、大変贅沢な布地もあったの
です。

 この方法は、昨今あまり使われていないと思いますが、私の修業中は盛ん
に行われていました。つまり、このように「状態の良い羊毛をブレンドして
織られた生地」
が本来の「ビンテージ・クロス」と呼べるのです。

 今では少し違う意味に使われているようですね。古い生地="ビンテージ"
であったり、古い機械で織った布地を"ビンテージ"と呼んでいることもある
ようですが、本来の意味から云えば、少々おかしいと言わざるを得ません。

 誤解のないようにして頂きたいのですが、ビンテージ・クロスでない古い
生地は品質が落ちるという訳では決してありません。
 ウールは上手く保管さえされていれば古い生地の方が味が良くなるのです。
また生地にも流行がありますから、その時代・時代の厚み、織り方、色合い
などを求めて
古い生地を探すのも面白いかも知れません。

 個人で生地を購入される場合、気をつけて頂きたいことは、古い生地は
基本的に一着分にカットされていることが多い…ということです。
 昔の人の方が体格が小さかったので、メーター数を確認しないと、購入
しても仕立てられない
…ということがあります。
 後は、保存方法が様々ですので、できれば実物を見て、判断されること
をお勧めします。

 私は個人的には、1970年位までの少し重い(400g~600g)布地が
大変好きです。服としての出来上がりのラインが綺麗に出るだけではなく、
シワにもなりにくく
、更にしなやかな味がとても魅力的です。
 この時代の糸は“太いのに柔らかい”特性があったから出せた味なのです。

ヴィンテージクロスの話、大変楽しく拝読致しました。

40年前のことは存じあげませんが、ここ20年間でも随分生地が変化しています。

20年前はスーパー150でも珍しく高価でした。
現在ではスーパー230以上でも普段使いに耐えうる薄くて柔らかな生地が出ています。
個人的には、20年前の厚めでヌメリのある生地が好きでしたが、今では手に入らないようです。

服部様は、「個人的には、1970年位までの少し重い(400g~600g)布地が大変好きです。」とコメントされています。目方のある生地で、日本の夏の季節でも着用できる生地があればご教授願いたく存じます。
2011.04.13 11:11 | URL | 丸田 #WOq6nlhY [edit]
Re
丸田様
いつもコメントありがとうございます。
ご希望に添える生地を探してみたいと思います。
今後とも宜しくお願い致します。
2011.04.14 17:40 | URL | 服部晋 #- [edit]


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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