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#200.父の生地見本 その参

Posted by KINN Tailor on 13.2014 生地の話   0 comments   0 trackback
 父の見本を見ていると、礼服に使われる生地が沢山残っています。

 上物としてよく使われる生地としては、黒のドスキン(Doeskin)があり
ます。私共ではドスキン以外にもウールバラシアマイクロヘリンボンなど
も使いますが、やはり「礼服にはドスキン」と、多くの方がおっしゃいます。
 このドスキンというのは「ドウ “Doe”(牝鹿)」「スキン ”Skin”(革)」
という意味で、本来は牝鹿の革をヤスリなどで加工して起毛させた物の名前
で、この革の感触に似せて織られた生地の事も"ドスキン"と呼んでいます。
ですから牡鹿の革を加工した物もあり、それを「バック “Buck”(牡鹿)」
「スキン “Skin”(革)」
と言い、同様に"バックスキン"という生地もある
のです。
 バックスキンという名前は皆さんよくご存知だと思いますが、牡鹿の革と
いう本来の意味ではなく、"革の裏側"という意味だと思っている方も多いの
ではないでしょうか? 私の専門外ですが革を起毛させた物には色々とあり、
「スウェード、バックスキン、ヌバック」…全て加工法や原材料が違うのだ
そうです。布地でも感触によってこれらの名称を使うので混乱を招きやすい
のかも知れません。

写真1ドスキンとバックスキン**
ドスキンとバックスキン

 さて礼服となると、やはり日本で一番多く着られるのがモーニングだと思
います。
 モーニングには縞ズボンが必要なのですが、父の見本に「コード地 "Code"
(縞ズボン用の生地)」が実に沢山残っているのを見ても、当時は今と違って
如何に多くのご注文があったか…がわかります。

 ちょっと面白い物も見つけました。当時、英国に生地を発注すると、先に
見本が送られて来ます。その見本の下には注文主(店)の名前が印刷されて
いるのですが、一番最初に送られてきた時は「TAILOR HATTORI」となって
いました。そこで「うちの屋号は金(キン)だよ」と伝えると、その次の時
「TAILOR KIN」と印刷されて来ました。正しくは「KINN」なのですが、
口頭で伝えただけでしたので悪い事をしたな…と思い、今度は書いた物を渡
しましたら、三度目にやっと「TAILOR KINN」と直った物が届きました。
見本も三種類あったのですが、上手い具合に残っていた物だな・・・と妙に
感心した次第です。

屋号2**
表記ミスのあった見本

 コード地の見本は30~40枚も残っていて、種類も色々です。
 中でも珍しいものは、ツィード(チェビオットが多い)のコード地です。
これはガーデンパーティなどの時用の物で、式典などとは違う少し気軽な会
に着るのに相応しい生地です。
 かなり厚みがありますので、上着もざっくりした織りの物を合わせます。
そんな機会があったら着てみたい!(私の場合は、作ってみたい!ですが)
・・・と思う程、実に味わいのある生地です。

写真3-2 ツィード**
ツィードのコード地とフォープライの上着地


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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