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#199.父の生地見本 その弍

Posted by KINN Tailor on 06.2014 生地の話   0 comments   0 trackback
 前回、オーバーコートに使われたツィードやホームスパンの話をしました
が、もう一種 "フリーズ(Frieze)"という生地の見本が出て来ましたので、
少し説明したいと思います。
 フリーズはチェビオット(Cheviot:スコットランドの高原地帯)で取れ
る毛で,主にオーバーコート用に作られた柔らかい生地です。
 基本的には濃い色の地味な感じが多いのですが、中には変わった物もあり
ます。表側は無地などの目立たないタイプの柄に対して裏側に縞や格子の柄
を出している物で、チェックバック(Check-back)とかストライプバック
(Stripe-back)
と呼ばれています。

チェックバック**
チェックバック(Check-back)

 この布でオーバーコートを作る時は、裏地を腰までにして柄が見えるよう
にします。無論柄合わせをする必要がありますから無地の物よりも少し生地
が必要になりますが、オーバーコートを脱いだ時とか、ちょっと軽く引っ掛
けて歩いている時などに風でヒラヒラすると裏の模様が見える・・・という
ようなお洒落を楽しむ事ができる訳です。
 今ではフリーズ自体がほとんど織られていませんので、厚手のコート地が
流行っていた時代ならではの"洒落た逸品"といったところです。

 さて、ここからは予定を変更して"ハリスツィード"について少し書きたい
と思います。既に様々な雑誌で取り上げられていますので、詳しい方も結構
いらっしゃるかと思うのですが、私の知っているハリスツィードについて少
し触れてみます。
 ハリスツィードは英国の北西にあるヘブリディーズ諸島(Hebrides)の中
の1つであるハリス島で作られています。近くの島々でにも羊は沢山いますし
毛織物も作られているのですが、ハリス島だけが大変有名になってしまった
のです。

ハリス島
ヘブリディーズ諸島(Hebrides)とハリス島

 それは「Hand woven Hand spun(手紡ぎ手織り)」という事を上手に
宣伝したお陰だと思われます。1835年、それまで伝統的な族長だった“マク
ロード・オブ・ハリス(Mccleods of Harris)"が所有していたハリス荘園
を“ダンモア伯爵(Dunmore)” が買取りました。
 そして伯爵の死後、その未亡人が荘園の小作人の妻たちが織るツィード
大変興味を持ち積極的に後援するようになり、販売にも協力したためハリス
ツィードが大変有名になった…という訳です。
 ところが面白いのは・・・ハリス島はルイス島(Lewis island)の南部に
位置しているのですが(島といってもルイスとは地続き)、ルイス島の方が
早くから機械を導入していて機械生産に力を入れているのです。
 ハリスツィードの手紡ぎ手織りの技術が守られ、世界中に売りに出されて
ツィードの中でも特別扱い(名前が付いていますので…)をされてきたのは、
ダンモア伯爵夫人の功績によるものなのでしょう。

 私もハリスツィードは大好きですが、最近では機械織りの物がほとんどで
あったり、ネームだけを売っている!?・・・という噂などを聞くと、残念
な気がしてなりません。


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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