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#190.夏休みの宿題

Posted by KINN Tailor on 04.2014 懐かしい話   0 comments   0 trackback
 終戦から10年程経過し、少し世の中が落ち着いて来た頃、虎ノ門の近くに
あった家を修繕する事になりました。両親は大森の親戚の家へ泊めて貰う事
になりましたが、私はその頃港区の職業訓練校の講師をしていましたので、
仕事場に近い青山の親戚の家に置いてもらいました。

 丁度夏休みで、中学生になったばかりの従兄弟が、自由課題に何か工作を
したいから手伝って欲しい・・・というので一緒に考える事にしました。
 色々と相談した結果、「電光掲示板」を作ってみようか…という事になり
ました。本物の電光掲示板は沢山の電球で文字や絵を表現しますが、私達で
はそんな物は作れませんので、光と穴を利用した掲示板にする事にしました。
 材料は画用紙、木の板、ブリキ板、乾電池、模型用のモーター…といった
具合で、当時どこでも手に入る物を使いました。まず、画用紙にタテヨコの
線を引いて沢山の丸い穴を並べて開けたのですが、幸い従兄弟の家はモール
細工
を生業としていましたので、小さな穴を開けるハトメなどの道具が沢山
あり、大層助かりました。
 この穴を開けた画用紙をスクリーンにします。その内側に文字の穴が開い
ている紙
を回して、紙の後ろから電球で照らせば、文字が流れながら映る
という仕組みです。

夏休みの宿題

 私は子供の頃から電気が好きでそれなりに勉強しましたし、例の御殿場の
電気屋さん
の手伝いをしていた事も結構役に立ちました。今でしたらもっと
大掛かりで立派な物が作れたと思いますが、当時は今程豊富に材料はありま
せんでしたから、まぁこんな物だったと思います。
 一つ言える事は、材料が手に入らなかった分、工夫してどうにかしよう
という気持ちは今の子供たちよりも強かったと思います。
 この電光掲示板を作るのに10日間位かかったと思いますが、試行錯誤した
結果、なかなか上手く動く掲示板に仕上がりました。

 装置ができたところで、いよいよ肝心のニュースを決める事になり「さて、
一体何という文字を流そうか・・・」と悩む事しきり。従兄弟のお姉さんは、
「“○○大売出し”なんてどう?」というので、なかなかいい案だと賛成したの
ですが、母親が反対でした。
 この人は元々学校の先生で、教育者らしく「せっかく電光ニュースなんて
物を作るのなら、夏休みが終わったのだから勉強しよう!という考えを強調
すべきで、“さあ!またしっかりやろうぜ!”…なんてのがいいんじゃない?」
という意見でした。私としては、子供らしくない…というか面白さに欠ける
気がしましたが、結局母親の意見を取り入れる事にしました。
 文字となる部分にハトメで穴を開け、装置にセットしてスイッチを入れた
ところ、ちゃんと光った穴の文字が流れて、実験は大成功でした。私も中学
時代の夏休みに色々工作をした事を思い出して楽しくなりました。

 尚、この電光掲示板は教室でも大変受けたらしく(言葉も含めて・・・)、
従兄弟は面目を施す事ができたようです。


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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