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#189.掘り出し物

Posted by KINN Tailor on 28.2014 生地の話   2 comments   0 trackback
 先日、ちょっと珍しい生地見本を見ました。それらは今から60年位前の
生地
で、とっくになくなっていると思っていた物でした。

 その一つが、ドーメル社(DORMEUIL)スポーテックス(sportex)です。
この名前をご存知の方は、沢山おいでになると思います。1900年代の初め
頃からスポーツやカジュアル用の生地をドーメル社が作り始め、それまでに
なかった種類の生地という事で評判になったので、"スポーテックス"という
名をつけて大々的に宣伝を始めたのです。
 そしてスポーツやカジュアルとしてだけでなく、普通のスーツ用としても
使えるように…と、様々な厚さや柄を売り出しました。当時のパンフレット
やポスターを見ると・・・「Sportex for BUSINESS」とか「Sportex for
LEISURE」と書かれた物がありますので、多くの種類の製品が作られていた
事がわかります。
 宣伝もなかなか上手で、その当時のゴルフ選手と組んで好みの柄を選んで
もらい、その人の名前を冠して○○柄とか○○縞…という商品を発表したり
しました。私共のお客様にも、それらの生地を好まれる方が沢山いらして、
毎年売り出される新しい柄を楽しみにしておられました。

 同じ頃、ドーメル社から出ていた商品で人気があった物にタウンテックス
(towntex)
というのがあります。こちらはスポーテックスに比べると比較的
一般的な生地でしたが、質感を初め全体のバランスが上手くまとまっていた
ため人気も高く、よくご注文を頂きました。
 どちらも評判の良い商品でしたが、終戦と共にだんだん使われなくなって
しまいました。その頃から生地がどんどん薄くなっていったという事も理由
の一つだと思います。

 これらの生地がなくなってから既に60年近く経っていますので、生地屋さ
んから見本を見せてもらった時には本当に驚きました。
 よく古い生地(ビンテージクロスと呼ばれているもの)が1着分とか、何
メートルという単位で"掘り出し物"として出てくる事はあるのですが、今回
は見本が出てきた・・・つまり生地は充分にあって必要な長さをカットして
くれる…という事なのです。
 なぜそんなに沢山ストックされていたのか?…とても不思議に思います。
そして更に驚かされたのは、ミニス社(J&J MINNIS)フランネルがブック
として出てきたのです。ミニスはお洒落なスーツ用の生地のメーカーとして
大変有名でしたが、かなり昔に会社がなくなっている筈です。それが40種
類位の生地が載ったブック
が出てきて、その中の生地はどれも在庫がある!
…というのです。
「ある処にはあるもんだね〜」という言葉をつい思い出してしまいました。
私共は毛織物業界ではないので詳しくはわかりませんが、昔は今よりも同じ
生地を長いスパン織っていたのだと思います。そして英国などは輸出も含め
てかなり大量に作っていたでしょうから、60年後にこのような嬉しい"掘り
出し物"
が出てきたのかも知れませんね。

Sportex**
Sportex
厚手で固めの生地 ツィードっぽい質感が好まれた
RedとBlueがあり、Redの方が少し肉厚


towntex**
Towntex
街着として織られた生地
ビジネス用にする方も多かった
おとなしい柄からかなり派手目の物まである


ミニス**
ミニスのフランネル
通常よりもやや多めに起毛された、しなやかな表面の生地
父は「ちょっとオシャレをしたい時には、ミニスをお選びになると良いですよ」と勧めていた。

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2014.07.31 08:52 | | # [edit]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2014.12.30 02:22 | | # [edit]


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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