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#187.拝絹地の話

Posted by KINN Tailor on 14.2014 生地の話   0 comments   0 trackback
 前回ご紹介した「越後サベリ」は、絹の裏地だけではなく、燕尾服やタキ
シードに使う拝絹地(フェーシング)も作っていました。
 私共では戦前から礼服のご注文を頂く事が多かったのですが、当時日本で
作られれていた拝絹地は殆どが"朱子目(シュスメ)"でした。
 また私共では"小白(コハク:琥珀とも書く)"や"石目(イシメ)"など少し
特殊な物も使っていて、越後サベリはこのような柄物を得意としていました
のでとても助かりました。
朱子:小白:石目
左から)朱子 小白 石目

 終戦後、絹の使用が減ってからは仕事の量も少なくなってしまったようで、
昭和27年頃まであった在庫を最後に、越後サベリの拝絹はなくなってしまい
ました。
 その頃から拝絹地も輸入物がだんだんと増えてきまして、私共では英国の
「Weldon」製の物をよく使っていました。
 その後バブル期になると礼服の需要が高まり、特に若い人達がタキシード
を持つようになったので、拝絹の需要も増えてきました。ある裏地屋さんが
別の会社を作って拝絹専門の部門を作った程でした。そして黒や紺ばかりで
なく色物や柄物の拝絹地も作り始めました。同時に絹ではなく、絹とポリエ
ステルの交織も出回り始めました。
 拝絹はラペルに薄手の拝絹下を貼り、その上に被せて周りを止め付けるの
ですが、の場合は少々ほつれやすく、下手にアイロンをかけようものなら
光ってしまいます。
 一方交織の場合は、取り扱いが楽な上に価格も手頃…という事で使う方が
増えた
ようです。

 ここ20年近くは景気が低迷していたこともあり、礼服を作られる方が極端
に減ってしまったようで、昔のような少し変わった柄の拝絹などはなかなか
手に入らなくなってしまいました。
 ありがたい事に私共では、礼服のご注文が極端に減った訳ではないのです
が、拝絹や側章のような付属品を扱う会社が減ってしまったのは悩みです。
先日もタキシードのオーダーを頂戴し、小白の拝絹地を探していました。
 たまたま古くから付き合いのある付属品屋さんにあったのですが、付属品
屋さんも昨今の事情を良くご存知のようで…「この手の拝絹地はもうあまり
ないので、残りを取っておきましょうか」と言ってくれました。これ幸い…
と思い、ストックして頂く事にしましたので、暫くは安心です。

 さて最後に余談ですが、このタキシードはあるお客様が「ご子息の結婚式
用に」とオーダーされた物でした。カマーバンドではなくベストにされ、
の織柄地
を選ばれて、蝶ネクタイも揃いで作られました。

柄**


 写真ですと少々派手に見えるかもしれませんが、ある程度年齢を重ねられ
た方がお召しになると、この生地がちっとも派手に見えず、とても上品且つ
お洒落な印象に映りました。
 それはご本人の魅力が殆どの理由ではありますが、「上質の絹地」という
事も多少はお手伝いしているのではないか…と思います。

    *    *    *    *    *    *

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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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