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#182.パンツのカーブの話 その壱 アイロンワーク

Posted by KINN Tailor on 09.2014 パンツの話   0 comments   0 trackback
「#180.パンツ後身について」で、尻グリのラインはとても重要で、見た目
だけではなく履き心地にも大きく影響する…という話をしました。
 このラインはお尻の形に合わせて描かなければならないのですが、裁断後
の処理も注意しなければならない事があります。

股カーブ 図a**

 図a.で説明しますと…赤いラインが股の縫い目になります。縫製が終わっ
た段階では左の図のように縫い代は内側(身体側)を向いています。
 このままだと縫い代が身体に当たってしまいますので、アイロンで縫い代
を割って逆さ向き
に倒さなければなりません。
 ところが縫い代の端のカーブは縫い目よりも小さく裁ってあります。それ
を縫い目で開くという事は、縫い目よりも大きなカーブにならないと上手く
納まらない…という事になります。ニット地のように伸びる素材の場合は特
に問題はありませんが、厚手の硬い生地になると大変な作業になるのです。

 そこで図b.のようにアイロンで縫い目を割り、縫い代の端を一生懸命引張
って伸ばし
、反対側に曲げます。
 左の図は縫い代を割った状態ですが、ここまではさして問題なく開きます。
これを右図のように股のカーブで折って縫い代の端を伸ばすというアイロン
ワーク
が大変なのです。ただこの状態で納まるまで伸ばしきらないと、履い
ている内に縫い代が戻って来てしまい、履き心地が悪くなってしまうのです。

股カーブ 図b**

 経験の少ない方は「一生懸命引張って」という表現は大袈裟に感じるかも
知れませんが、本当に一生懸命…というか必死で・・・という感じなのです。
 職人さん達も、このアイロン操作に関してはかなり苦労して勉強しなけれ
ばならないところなのです。特に縫い代を多めに付けておく場合など、布が
多い分縫い代の端のカーブは小さくなりますから大変です。
 一般的に「体型の変化」と云うと元よりも太ってしまうケースの方が多く、
その場合はこの縫い代があるかどうかでお直しが出来るか否かが決まります
ので、どうしても多めに付けておきたいところなのです。

縫い代**
縫い代 腰4.5㎝ 下のカーブの辺り2㎝

 縫い代の端がなかなか伸びてくれないと、「いっそのことカーブの途中に
切れ込みを入れられたらいいのに」と思ったりするのですが、実はこれと同
じような考えからできた技法もあるのです。

 その技法については、次回お話ししたいと思います。


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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