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#167.為替レート

Posted by KINN Tailor on 17.2014 生地の話   0 comments   0 trackback
 近頃は誰でも外国から直接色々な物を買う事ができるようになりました。
レートによって同じ物が高くなったり安くなったりする訳ですが、私の仕事
でも生地は外国製の物を多く取り扱っていますので、やはり影響があります。
 ただ基本的には商社を通して購入していて、個人輸入ではありませんから、
同じ生地を仕入れるのに昨日と今日で値段が変わる訳ではありません。
 見本のバンチ(Bunch)が出る時に料金が設定されていて、そのバンチを
使っている間は基本的には料金は同じです。
 但しレートが著しく替わったりすると…例えば2年位前にユーロがかなり
下がった事がありましたが・・・そういった場合は料金改定が行われる事も
あります。
 最初は「生地を織った時は元のレートですから、今後ユーロが下がっても
値段は変わりません」というような事を言っていましたが、あの時はかなり
下がりましたので、さすがにそのままにはできなかったのでしょう。かなり
後ではありましたが、料金がしっかり変更になりました。

 さて、かれこれ50年位前のお話をしましょう。
 その頃生地は買い取り制で、問屋さんが仕入れた物の中から選んで買って
いました。また今のようにバンチから自由に選ぶ事もできませんでした。
 そして長さも「ショートレングス(short length)」と呼ばれていた1着分
(約3m)にカットして売っていました(問屋さんに在庫があれば長さは自由
に注文できましたが…)。そのためか問屋さんの事を「切り売り屋さん」
呼ぶ人もいました。
 バンチにはあるけれど、問屋さんが仕入れていない生地が欲しい時はどう
するか…というと、これは少々大変でした。生地は1反(60m)の単位で織
られていますから全部買う訳にはいかないので、問屋さんに交渉してもらい
半反にして売ってもらうとか、それを仲間と一緒に買ったりしなければなり
ませんでした。
 それでも確か年に2回程、バンチから直に選んで注文できる日が設けられて
いました。
 その日は何百点ものバンチがずらりと並んでいる中から気に入ったものを、
必要な量だけ注文する事ができたのです。
 但し当時は船便ですから、注文した生地が手元に届くのは6カ月後でした。
ですから夏に冬物を注文し冬に夏物を…といった具合でしたが、この待って
いる半年が、ある意味一寸楽しみな時間でもありました。
 ただ今の仕入れから考えてみるとびっくりするのがレートです。当時は今
のように日々レートが変わる訳ではありませんでした。固定レートの時代で
したので1ドルは360円、そして何とポンドは1ポンド1,080円でした。
 おまけに問屋さんは自分流のレート(今考えれば手数料などを含めた設定
なのかも知れませんが)を勝手に決めてしまっていましたから、かなり高く
設定されていました。
 当時は海外旅行がまだ大変な時代でしたが、私共のお客様の中には毎年の
ように海外へ行かれゴルフなどを楽しまれ、帰りに英国で生地を買ってこら
れる方も何人かいらっしゃいました。このレートで考えてみますと・・・何
とも羨ましい話だなぁ…とつくづく思います。


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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