Loading…

#166.袖のワナ取り

Posted by KINN Tailor on 10.2014 オーバーコートの話   2 comments   0 trackback
 今回はオーバーコートの裁断の話です。

 オーバーコートの場合は起毛している生地を使う事が多いのですが、その
場合生地の向きによって上下がある時があります。これは織る段階で上下が
できる場合と、仕上げの時に生地にローラーをかける事によってできる場合
とがあります。
 織ってできる上下は、生地を見ればわかるので良いのですが、ローラーに
よってできた上下は触ってみないとわからない場合も多く、裁断をする前に
掌で生地を撫でてみて、向きによって生地の色が変わるかどうかを確かめな
ければなりません。
 通常は毛の向きが上から下に向かっている方向を服の上下とします。逆向
きにすると色が濃くなって見えてしまいますので、同じ向きに裁断をしなけ
ればならず、型紙を逆さまにして生地に無駄が出ないように差し込んでいく
…という芸当はできないのです。
 私たちはこの向きの事を「一方通行」と呼び、「この生地は一方通行なの
で裁つのに苦労しました・・・」などと言ったりします。
 またオーバーコートの場合は、襟が大きいデザインの場合が多いので長さ、
幅共に生地が必要ですし、ポケットも共布で作りますので、ジャケットに比
べるとこういった付属用の生地も必要になるのです。
 またお客様の中には、コートの襟を立てた時の事を考えて襟の裏側を共布
仕立てる事を希望される方が少なくありません(普通はカラークロスと云
う別の布を使用します)。その場合、予想以上に生地を使う事になる訳です。
 そして更に問題なのは・・・と言ってもここからは私共の場合だけなので
すが…私共では、袖口から先に袖の内側へ折り返す分をかなり多めに付ける
ようにしています。普通は5cm位なのですが10cmは付けます。これは飾り釦
の所をしっかりさせるためです(通常は別の生地を付ける事が多いようです)。
 このように袖を長く裁断するとなると、普通の裁断方法ではうまく収まら
なくなって来ます。
 普通の裁断法で説明しますと…まず前身と見返しを並べて取り、その横に
後身と袖を並べて取ります。そうすると図のように一番右側の所で襟が取れ
ます。

普通のオーバーの裁断**

 ところが私共の袖をこの裁断方法で裁つと、袖が長い分襟が取れなくなっ
てしまうのです。そこで私の父が考えて工夫したのが「袖のワナ取り」です。
 図のように下袖を一枚づつ分けて取ります。まず、下袖Aを2枚重ねてある
生地の上1枚だけで裁ち、もう一枚の下袖Bはワナになっている所を広げて裁
ちます。そうして下袖Aを裁った後の下側の布を広げてみると、襟やポケット
などを取るのに充分な布が残っている…という訳です。

うちの裁断**

 少々大袈裟な言い方ですが、「裁断は2枚重ねた布を裁つ」という常識を
破ってワナを広げて取る方法を考えた父は、やはり頭が柔らかかったのだな
…と思います。
 私がオーバーコートの裁断をする時も殆どこの方法にしていますので、袖
の返しをたっぷり取っても付属の生地の心配をせずに、且つ無駄なく裁断が
できている訳です。

縫い方を知ろうと探していたらこちらにたどり着きました。突然あつかましくて申し訳ありません。メンズのジャケットのリフォームでぜひ教えていただきたくメールをさせていただきました。
肩幅と身幅を3cm狭く、袖幅も袖口も狭くしたいのですが、二枚袖のそれぞれの縫目で仮に1.5cm縫いこむとそこが段ちになってしまいます。
それを自然なカーブにすると今度は腕の幅が狭くなりつっぱってしまいます。
何回もあれこれ試してみましたが綺麗に袖が付きません。
何をどうすればいいのか教えていただければ有難いです。
お忙しい中申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
2014.03.05 08:15 | URL | 米村 たき子 #- [edit]
米村様
ブログを観て頂いてありがとうごいます。
ご質問頂いた件ですが、肩幅と身幅を3cm狭くした時の
アームホールの形がどうなっているかが問題です。
アームホールも3cmに合わせてくってしまうと
ホールが大きくなりすぎている可能性があります。
また、袖も狭くということですが、そうなると
身頃のアームホールが大きくなり袖が小さくなっている
ために突っ張ってしまうのではないでしょうか?
今日の午後になりますが、図解した物をメールで
送りますので参考になさって下さい。
宜しくお願い致します。
2014.03.05 09:27 | URL | 服部 晋 #- [edit]


  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://kinntailor.blog98.fc2.com/tb.php/230-b818523c

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR