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#159.ビキューナ(vicuña)

Posted by KINN Tailor on 16.2013 生地の話   1 comments   0 trackback
 2週前のブログ「冬支度」で、ビキューナのガウンについて書きましたが、
もう一つビキューナの思い出がありますので、今回はその話しをしたいと思
います。

 それは、ビキューナのガウンよりも更に10年以上前のことです。
 とても珍しい生地として「スパン・ビキューナ」(ビキューナの細い繊維
を使って作るスーツ地)が入りました。しかも柄物(格子柄)でした。生地
の長さがあまりなかったのですが、幸いな事に小柄な老年のお客様がお気に
召して下さり、三つ揃いのスーツを仕立てる事ができました。
  ご存知の方も多いと思うのですが、ビキューナは南米ペルーあたりに生息
する野生のラマの一種で、大変希少で高価な商品です。ただ、当時は今騒が
れている程には割高な物ではありませんでした。
 でも、とにかくスパン・ビキューナのスーツというのはとても珍しい物な
ので、私も何度もある仕事ではないな…と思いました。仕上がった時には、
ご注文して下さった方も大変喜んで下さり、その後何回かそのスーツを着て
お越しになられました。
 ビキューナという生地は見た目は特に大変な生地という感じではないので、
お召しになっているご本人がその感触を楽しまれると良い物だと思います。
 かなり長くご愛用頂いたのですが、その方が亡くなられた後にご長男がお
越しになり「あの服だけは大切に使いたいから、できれば私の寸法に直して
下さい」とご依頼を頂き、お身体の大きさがそれ程違いませんでしたので、
ご希望通りお直しする事ができました。
 今でも希少品としてスパン・ビキューナがありますが、格子柄というのは
更に少ないのではないでしょうか。いずれにしてもとても貴重な体験でした。

 ここからは余談になりますが・・・日本では冬になるとよく「ラクダのシ
ャツ」
(ちょっと昔ですね)と云って、年配の方が保温用のシャツやズボン
下を使っていましたが、これはラクダ…つまりキャメルの事ではなく、極上
サキソニーカシミヤを使っていたと思います。最近はキャメルというと
色のイメージが強く、素材として使われる事が少なくなってきました。
 アルパカも同様で、非常に軽くて保温性にも優れていますが、カシミアと
比べると比較的お手頃な価格で出回っています。

 カシミアの人気が高いのには幾つか理由があると思うのですが、その最大
の理由は「発色が良い」ということではないでしょうか。
 キャメルの下着は別として、普通は洋服地やセーターの素材として使いま
すから色が綺麗に出た方が良い訳です。その点が実に素晴らしく、色を綺麗
に出す為に、わざわざウールにカシミアを混ぜることがある程なのです。
しかもこの場合、たったの2~3%混ぜるだけで良いのだそうです。こんなに
少ない量でも発色が全然違うそうですから、やはりカシミアは大した物なの
ですね。

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2015.11.15 00:08 | | # [edit]


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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