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#133.袖の話 ~製図~

Posted by KINN Tailor on 17.2013 補正の話   0 comments   0 trackback
 先週の続きで、袖の補正や修正をする方法をお話ししたいと思います。

 まず、肩幅を小さくした場合に袖が短くなってしまう例です。
 袖山に縫い込みがあれば良いのですが、まず袖山に縫い込みが入っている
事は殆どありませんので、次のような方法を取ります。
 図のように、山袖の山が長くなるようにカーブを描き直し、袖全体を上に
せり上げて袖口を出します

 今は本切羽が流行っていますが、穴を開けてしまった場合は袖口をいじる
事ができなくなりますので、この方法は難しくなってしまいます。英国など
で1~2番目の穴は空けない習慣がありますのは、こういった直しがしづらく
なるからなのです。
図1**
 私が袖山に縫い込みを入れる場合は、格子の時です。格子は柄合わせの問
題がありますので、この方法で袖をせり上げることができません。ですから、
あらかじめ縫い込みを入れておくようにします。
 次に、袖が前や後に下がるようにするにはどうするか…ですが、よく行わ
れている方法は、袖山の形を変えずに身頃と袖の合い印を動かして下がり方
を変える
というものです。簡単にいうと、袖山を回す方法です。
図2**

 この方法ですと、確かに袖の下がる位置は変わるのですが、袖山の形が身
頃のアームホールの形と合わなくなってしまいますので、実際に袖を通した
後に問題が生じてしまうことがあります。
 袖山の形は、前肩の場合やその方の肉の付き方などによって形が変わりま
すが、そこの説明をするとかなり専門的になり過ぎてしまいますので省略致
しまして・・・。袖の下がる位置を変えるためには図のようにします。

図3**

 前に下がる袖にする場合は、後の合い印を上げて山の膨らみが斜め前に出
っ張る
ようにします。このように山自体の形を変えないと、動かしにくい袖
になってしまう訳です。
 この「手の下がる位置」というのは意外とわからないもので、前回お話し
したように、仮縫いの時に修正をする事が少なくありません。それは最初に
採寸をする時には、自然な姿勢でない場合が多く、特に腕などは真直ぐにし
て頂くので癖が出にくいのだと思います。
 袖の話を書いている内に、ふと思い出したお客様がおられます。
 父の代からのお客様ですから…かなり古い話ですが、その方は北陸の方で
コードレーンという生地を大変好まれた方で毎年夏はこの生地の服で過ごさ
れていました。
 ですから、毎年梅雨の少し前頃にお見えになりご注文をして下さるのです
が、この方の肩から袖にかけてのラインがかなり特殊なものでした。
 袖の付根の所にゆったりとした丸みを出すのがお好みで、このような形に
するにはどしてもかなり厚いパッドを使わなければなりませんでした(一番
厚い所で5cmもありました!)。
 そのような物は売っていませんでしたから、パッドを作った訳ですが、父
も大変苦心していました。
 かなり大きなパッドの形の布の上に少しずつ綿を積み上げて形を作り、最
後に糸で刺してから肩が丸くなるようにカットして仕上げるのです。私も手
伝いましたが、1組作るのに2~3時間必要でした。
 この方は夏はこの服しかお召しにならないので、洗濯の都合でひと夏に3
着ご注文を下さいました。有り難い事なのですが、ご注文を頂いた後は一日
中パッドを作っていた
思い出があります。

 服には流行りがありますが、もうあのようなパッドを作る機会はないのか
な…と思うと、とても懐かしくなります。
図4**


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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