Loading…

#128.柄合わせ 格子 〜ジャケット編〜

Posted by KINN Tailor on 13.2013 柄合わせの話   0 comments   0 trackback
 今回は縞に続いて、格子の柄合わせについてお話したいと思います。

 格子はご存知のように、縦と横に線が入っているわけですから、縞よりも
やっかいな事になります。では、ジャケットの場合にどの箇所で柄を合わせ
るかを考えてみましょう。
① 前身頃の左右、後身頃の背の縫い目
② 脇の縫い目
③ 肩の縫い目
④ 襟の後側と背中
⑤ 袖と身頃
⑥ 前身頃と見返し
…考えると結構あるものです。これらの箇所の柄をどこまでどう合わせるか
というのは、その作り手の”拘り”でもあります。
 格子柄の生地を裁つ時には、この柄合わせがありますから普通よりも生地
を1割程度(柄の大きさにもよる)多く購入する必要があります。
 私のように長年裁断をしていると、自然と柄合わせができるのですが、塾
の生徒さんなどはそうはいかないようです。特に胸ポケットの所は斜めにな
っていますので、仕上がったポケットの口と身頃の柄を合わせるのに苦労す
るようで、生地をジッと見つめて考え込んでしまう事もあります。
 さて生地を裁断する時、私共のやり方には特徴がありまして、格子柄だと
わかりやすいので、ちょっとお話ししたいと思います。
 生地の裁断をする時に、私たちが大切にしている事の一つに「地の目の通
し方」
というのがあります。生地は緯…つまり縦の糸と、経…横の糸との組
み合わせでできていますので、縦地の目、横地の目の関係がとても大切にな
ります。
「縞の柄合わせ」で説明したように、一般的にはジャケットの釦の所に縦地
の目を通しますが、私は襟の付け根から通します。こうすると当然、横の地
の目の位置も変わってきます。
 格子図1*
 普通ジャケットの型紙は、前下がり、つまり前身の裾の前端が少し長めに
できていますので、縦の地の目を通すと、通常はチョークで描いた線が図の
ように前下がりになります。私の縦の地の目の取り方ですと、横の地の目が
裾線と平行
になります。
 では私の服には前下がりがないのか…という事になりますが、脇ポケット
を利用して腹ぐせ(横のダーツ)を取りますので、結果的には前下がりと同
じ事になる訳です。
 面白いのは…できた服の見た目と、それを着た時の見た目の違いなのです。
  格子図2*
 普通の服のできた状態は、前下がりの分、前に柄が多く出て横が少なくな
ります。
 これを着ると(目の錯覚なのでしょうが)縦の線は中心に寄って見えて、
横の線は後下がりに見えてしまうのです。
 これは人間の一般的な体型がお腹が一番出ていて、その下がない…という
事が影響しているようです。
 私の地の目の通し方や腹ぐせは父から受け継いだ事なのですが、どうして
こうする事になったのはわからないのです。
 綺麗に見える服を研究していたら、縦の地の目の位置は襟の付け根からに
なり、服を立体的にするためには腹ぐせが必要になり、結果的に横の地の目
も通す
事ができた…という事なのかも知れません。
 職人同士というのは、上手くいっている事については、あまり言及したり
しないもので一体何が一番最初だったかが不明で、その辺りをお話しできな
いのが残念ですが、いずれにせよ、この方法で綺麗な格子柄の服に仕上げる
事ができるのです。


  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://kinntailor.blog98.fc2.com/tb.php/174-00351027

プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR