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#120.時代の流れと共に その弐

Posted by KINN Tailor on 18.2013 パンツの話   0 comments   0 trackback
 今回もパンツの懐かしい話です。

 私が仕事を始めた頃(1950年頃)と今のパンツで違う所は、前が釦仕様
ったという事です。エフロンファスナーが発売されたのが1963年だったと云
いますから、その当時のファスナーは全て金属でした。この金属のファスナ
ーが少々やっかいな代物で、洗濯をした後など滑りが悪くなったり、壊れて
しまったりするのです。
 お客様から「この前、ファスナーがシャツを咬み込んでしまって大変な思
いをしたよ」と云うようなお話を聞く事も珍しくありませんでした。ですか
ら、まだ釦仕様が一般的だった訳です。
 釦の数は殆どが5つです。釦仕様にすると、前タテに釦穴を開けて付ける
事になりますが、普通のやり方ですと前タテを表地を折って作る為前のハナ
の所が生地が重なり厚くなってしまいます。そこで私共の場合は、前タテを
バイヤスに裁ったスレキ(sleek)で包んで仕上げるようにし、薄くなるように
していました。
 最近はクラシック志向なのかも知れませんが、割と釦仕様のご注文を多く
頂いています。
スレキ、前タテ
 また当時はハーフブーツを履くのが一般的で、私の父も普段からハーフブ
ーツを愛用していました。父が出掛ける時はブーツの釦を止める金具を使っ
ていたのを思い出します。
 当時のパンツはハーフブーツの上にぴったりかぶさるような形に作られて
いましたので、細めのパンツの場合は、裾が靴にかぶさるように少し広く作
ったりしたものです。
 当時の服装は、上から下まで綺麗に繋がって見えるようにしていた為だと
思います。
 後に短靴が流行するのですが、その時も靴下が見えるのを嫌がる方が結構
いらっしゃって(当時靴下は下着と捉えられていた)、そういう方はスパッツ
を使っていらっしゃいました。
        スパッツイラスト**
 ところが、その後米国を中心にそれまでに比べると非常に裾口が狭い細身
のパンツ
が流行り始めました。(1962〜63年頃から)丈も当然短くなって、
靴下をわざと見せるようになったのですが、私たちは陰で「これは靴下屋の
仕業だな」などと話したものです。
 それからは、その時代時代で特徴はあるものの太くなったり、細くなった
りを繰り返しているような感じです。

 ここ数年は、しゃがんだら縫い目が裂けてしまうのではないか…と思う程
細身で短めのパンツが流行っています。そういうデザインを好まれる方の話
ですと、座りづらくても、しゃがめなくてもいいそうですので、履き心地を
追及している私からすると少々困惑してしまいます。
 服はその方のお好きなように着れば宜しいと思うのですが、スーツという
物はやはり全体のラインが大切ですから、あまりピチピチで横シワが出過ぎ
ている物はどうかな?…と思います。
 また大切な時には「スーツ着用の事」とあるように、一種の礼服的な要素
もある訳ですから、相手に敬意を表する意識を持って選んで頂ければと思い
ます。


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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