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#92.直しの話 その弐

Posted by KINN Tailor on 03.2012 補正の話   0 comments   0 trackback
 今回は、かなり大掛かりな "お直し"の話です。

 私共の古くからのお客様が、大きなご病気をなさって随分体型がお変りに
なりました。
 本来ですと新しい洋服をお作りになる必要がある程の変化でしたが、いつ
も素晴らしい生地をお選びになる方でしたし、お作りになった服にも愛着が
お有りになった事から「何とか直してもらえませんか?」と懇願されました
ので、やってみることにしました。
 この時のお直しですが、胴回りを16㎝、肩幅を3㎝、前の丈を3㎝(お腹が
凹んだため)詰めるという大掛かりなものでした。
 まずパンツですが、(前回お話ししたように)後身が小さくなっては困り
ますので、全部バラして前身のファスナーや脇ポケットを作り直す事にしま
した。
 このような大直しの場合に注意していおかなければならない事は、ご病気
でお痩せになった方は、何年かすると元の体型に近づくようになるケースが
多い…という事です。
 ですから胴回りで16㎝小さくしたのですが、もしもの時には8㎝まで出る
ように縫込みを付けた訳です。
図パンツ*

 パンツの直しの場合、ポケットやファスナーの作り直しは面倒なようです
が、今迄ポケットがあったのとは別の場所に新たに作り直す訳ですから、口
が多少擦れていた場合など、逆に綺麗になるというメリットがあります。
 むしろ問題なのは後のポケットの位置です。後の縫目だけで直すと中央に
寄ってしまいますので、図のように前身の脇と小股でも大きさを調整すれば
バランスよく直す事ができます。

 さて大変なのはジャケットです。太さを調整するのは背中や両脇を使って
少しずつ詰めていきますが、この方のようにお腹が出ていたのが引っ込んで
しまった場合は、前身の丈が長すぎてしまう事が多いのです。そこで襟と肩
の所で丈を短くする必要があります。今迄なかったアゴぐせをとったり、肩
を下げたり(アームホールが深くなり過ぎるため)して調節していきます。
 ここで問題になるのが、肩を下げるという事はラペルが上がる…という事
ですから、当然ゴージが高くなる訳です。
 いくら今の流行はゴージが高いといっても限界がありますので、ラペルの
上を少し削らなければなりません。そうなると、フラワーホールの位置が上
がってしまい少々見た目が悪くなってしまいます。ですから、そこをご了承
頂けなければなりません。
    図ジャケット*
 この時は全部で12~3着のお直しをした記憶があります。
 ここまでのお直しをすることは滅多にありませんし、これ以上ですと今度
はポケットの位置が問題となってきますので、なかなか難しくなりますが、
直しが終了した服をお客様が嬉しそうにお召しになっている様子を拝見する
のは、新しい洋服を納めた時とはちょっと違う嬉しさがあるものです。
 次回は究極の直し?と言うか、少々珍しいお直しについてお話しします。


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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