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#90.手縫いの仕事 その弐

Posted by KINN Tailor on 20.2012 縫製の話   1 comments   0 trackback
 手縫いと機械縫いとの差が一番よくわかるのが襟まわりです。
 襟は洋服の中では割と小さなパーツなのですが、その割には色々な要素が
沢山ある所なのです。
 襟は、カラークロスと芯と上襟(表地)からできていますが、機械作りの
場合は、襟だけを先に仕上げてしまってから身頃に付ける方法が一般的です。
 中には、上襟だけを後から手で付けるというやり方もありますが、これは
高級な仕事という事になっています。
 私共の場合は、ご存知のようにプルダウンをかけますので、長い襟を縮め
ながら付けなければなりません。そして、付けた後にアイロンでかなり力を
入れて伸ばしますので、その箇所はしっかり止まっていてくれなければなら
ないのです。
 ですから、伸ばす箇所はスパイラル状に糸を入れ、更に襟を身頃に細かく
からげて止めていきます。そしてプルダウンをかけた後は上襟を、襟の様子
を見ながらふんわりと止めていく訳です。
 襟を身頃に止める時も上襟を掛ける時も、様子を見ながら…つまり「現場
合わせ」をすることが多く、更に部分的に縮めたりしますし、止め方(縫い
方)も色々なので、結局は手でやってしまった方が具合が良いのです。
 現場合わせといえば、裏地などや細かいまとめの部分も仕上がった物に合
わせていきますので、どうしても手で縫うようになります。
 パンツのベルト裏など、図のようになっていますから、手でチョイチョイ
と形を作ってしまった方が早いですし、裏地にゆとりをもたせるために生地
を反らせて付けていくのですが、そんな芸当ができるのも手縫いだからこそ
なのです。
パンツ腰裏*

 人の手は、本当に素晴らしい物だと思います。
 ちょっと話は変わりますが、工場生産で感心することは、全てのパーツに
型紙があるということです。
 同じサイズの物を作らなければならないですし、それぞれの担当が別々に
仕上げていくので当然と云われればそうなのですが、現場合わせの多い私共
などからすると、とても大変に思えて、つくづく「よくやるなぁ」と思う事
なのです。

夏も厚さのピークが過ぎそうですね。
昨日北鎌倉の東慶寺へお参りに行くと、
セミの声が同時に4種類聞こえていました。
ミンミン、アブラ、ニーニー、そして夏の終わりを知らせるツクツクホーシ、
オーケストラの交響曲のようでした。

ところで、服作りのお話、いつも楽しく拝見しております。
服作りの現場では、仕上げの意味合いが強くなるに従い、
思いのほか手仕上げが多いのですね。
また、大量生産では型紙がすべてのパーツに使われるのですね。
ジーパン等でみられる後ろの三角形の小さなパーツにも型紙があるのでしょうね。
身につける洋服、大切に着たいと思います。
2012.08.26 21:50 | URL | リカルド夙川 #- [edit]


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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