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#89.手縫いの仕事 その壱

Posted by KINN Tailor on 13.2012 縫製の話   0 comments   0 trackback
 「手縫いの仕事」というと、昨今では「高級品」の象徴のように扱われて
しまいます。確かに手縫いは時間がかかりますが、味のある仕上げには欠か
せない作業なのです。
 実際に仕事をしている立場からすると、どうしても「手縫いで仕上げたい
箇所」
というのがあります。今日は手縫いの特徴や手縫い仕上げたい理由に
ついてお話ししましょう。

 まず、良く手縫いが使われている箇所ですが… ①肩の縫目 ②襟まわり
③袖付け/袖まわり ④パンツの尻の縫目 ⑤裏地のとめやまとめ 等だと
思います。
 ①肩の縫目 ③袖まわり ④パンツの尻などは、身体の中で良く動く場所
だということがわかります。また着心地を考えると、肩、袖については、柔
らかく繋がっていて動きやすく仕上げたい訳です。
 なぜ手縫いは柔らかいのか…と言うと、まずミシンより目が粗くなります。
目が粗くなるといっても図のように糸が重なるような刺し方をしますので、
口が開くようなことはありません。
 またこの縫い方ですと、縫目の長さよりも長い糸を入れておけるので、
同士が独立して動ける
のです。
 更に最大の特徴と言えるのが…ミシンは上糸と下糸の2本の糸で縫っていき
ますが、手縫いは1本の糸で縫っていきますので、縫目が少し伸びたり縮んだ
りできるのです。この "縫目が動く"という事が、動きやすい服にとってとても
大切なことなのです。
手縫い図*

 また、縫製をされている方はおわかりになると思いますが、袖を付けた後の
「とじ」という作業が大変重要です。
 これは、袖まわりの形を出すために裏側から身頃と袖とを一体になるように
とめていく作業なのですが、パッドも一緒にとじる箇所もありますので、厚さ
が一定ではない上に、袖付けよりも余分な糸を入れておく必要がある場所なの
です。ちょっと大袈裟な表現をしますと、わざと緩めて長い糸を入れる感じ
とじていかなければ動きやすい袖には仕上がらないのです。
 何となく「縫う作業」は、しっかり縫われている方が丈夫で良い…と思われ
る方が多いと思うのですが、しっかり=きつくになってしまうと、仕上がりが
硬くなってしまいます。
 ミシンですと"綺麗"には仕上がるのですが、どうしても縫目が硬くなってし
まいます。またミシンをかける時に縫目が多少引っ張られるので、伸びるのを
防ぐためにテープを入れて縫う人もいますが、それですと縫目が厚くなってし
まい、余計に硬くなってしまいます。
 現在は様々なミシンが開発されていて、色々と驚かされることが多いのです
が、今の段階では「柔らかく仕上げる」という事を考えると、手の方が優れて
いる
ようです。


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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