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#85.ともひと親王殿下と私 最終話

Posted by KINN Tailor on 09.2012 特別な話   0 comments   0 trackback
 宮様はスキーを始めとするスポーツをされていた事と、色々な会に属して
おられた関係から「ブレザーコート」(→ブレイザーコート : blazer coat)
をよくお作りになりました。
 色はだいたい黒か紺、釦は英国から戻られる時にまとめてお求めになった
物と決まっていました。釦は全部で三種類ありましたが、全て人がスキーを
している模様が入っている物で、大層気に入られて、当時お店にあった物を
全部お求めになったとおっしゃっていました。
 宮様が何枚もブレザーをお作りになったのは、属しておられる会によって
ワッペンが違いますので、会合の度に付け替えるのが大変だったというのが
ひとつの理由です。
 ご自身でもワッペンのデザインをされるのがお好きで、よくお手伝いさせ
て頂きました。その中でも大変お気に召していた物のデザインが下の画です。
      ワッペン**
 ともひと親王家の紋章の下にリボンを配し、宮様の一番お好きだった言葉
を刺繍
した物です。意味はラテン語で「誠実」という事を書いた短い文章で、
学習院の標語でもあるそうです。このワッペンは都合4~5枚お作りした記憶
があります。

 私事で恐縮ですが…ここ数年洋服に関するDVDを製作していますが、これ
は宮様から「せっかくの日本の技術が、次世代に続かなくては困る。あなた
の覚えてきた仕事のやり方を記録して残したらどうか…」というお言葉を頂
いたのがきっかけでした。
 最初の『洋服の作り方』の時には私と対談までしていただきました。その
対談後に雑談をした際「今日は、僕の母校のモードレンのブレイザーを着て
いますが、マグカップや室内履きも揃えているのに気が付きましたか?」と
おっしゃり、撮影に関わった全員が驚いたものです
 宮様が、英国で洋服の基礎を学ばれた時代の物を身に付けて対談して下さ
ったのです。そして撮影の背景に…と、関連する小物までさり気なく配して
下さったのです。こうしたお心遣いには頭が下がります。
 その時に「このDVDの後は、“礼服について” を作りましょう。僕の礼服を
使ってくれて構いません」「最近では礼服を着る人が減ってしまったので、
モーニングを着てガーデンパーティをするてんという企画もいいですね」と
おっしゃっていました。
 その後『礼服についてお話ししましょう』を製作する際には、企画の段階
から色々とご教授いただき、特別に出演もして頂けた訳です。

 まさかこんなに早くご逝去なさるとは思ってもいませんでしたので、色々
とお約束が果たせなかった…という後悔がたくさんありますが、これからも
お言葉に従って、映像や技術書などを通して次世代の人に残せる物を作って
いきたいと考えています。

本&サイン**
*英国留学の本 
「表紙の背広を作ってくれた思い出に」と、サインして下さった。


      ミニチュア**
*妻が他界した際に頂いた置物
「大変なことが起こってしまったけれど、気を落とさずに」という
 お手紙と一緒に下さった。
 "洋服屋であることを忘れずに、これからも頑張って" というメッセージだったのだと思う。


      *    *    *    *    *

◎#37「サン・クロス」に登場する"お洒落なお客様"とは宮様の事。
◎ホームページ「Custom-made」の礼服をクリックすると出るクラシックスタイルのモーニングは、宮様の物。

※パソコンによっては、親王殿下のお名前の表記が文字化けしてしまうため、
平仮名で表記させて頂いています。




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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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