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#84.ともひと親王殿下と私 其の参

Posted by KINN Tailor on 02.2012 特別な話   0 comments   0 trackback
 宮様は大変熱心に福祉活動をなされていましたが、その活動の一つとして
「愛のコンサート」という音楽会を毎年開いておられました。
 このコンサートは長く続いていて、昨年がちょうど35回目でした。
 毎年何らかのテーマがあり演奏内容を決めていくのですが、一度だけ内容
に合わせて洋服の注文
をされたことがありました。
 それは2006年の「モーツアルト生誕350年」に当たる年で、モーツアルト
の特集をやろうか…ということになった時です。
 宮様は「モーツアルト特集をやるのだったら、その時代の衣装を着て挨拶
しようか?
」とおっしゃり、それはとても素敵なアイデアだ!ということに
なって、早速打ち合わせに入りました。
 宮様はクラシック音楽がお好きでしたが、お洋服もクラシックなスタイル
を好まれました。それでもモーツアルトの時代の服を着るチャンスはあまり
なかったためか、この時大変楽しそうにされていたのを覚えています。

 生地の色はやはり"赤"を使うことになり、ジャケットとベストの組み合わせ
にすることになりました。モーツアルト時代はジャケットもベストの丈も長く
釦がずらりと並んでいるというデザインです。

  モーツアルトの時代の服*

 特徴の一つである釦をどうするか…でまず悩み、最初は金属にしようかと思
いましたが、クラシックなスタイルに拘って黒のメッシュ生地の "くるみ釦"
(宮様が礼服用に使われていましたので)にすることに決まりました。そして
同じ生地で帽子も作られました。
 モーツアルトの肖像画に描かれているジャケットの色は、かなり鮮やかな赤
ですが、宮様は草木染めの赤を選ばれましたので、仕上がりはとてもシックで
上品な物
に仕上がりました。
 お洋服を納めに伺った時早速お召しになり「これはなかなかいいね。これを
着て挨拶に出たら、どんな反応を示すかね?」とおっしゃり、その日をとても
楽しみにされていました。
 そしていよいよコンサートの当日、私も楽しみにしていましたところ、何と
違うお召し物で登場されました。いつ着替えられるのか?と思っていたのです
が、ついにお召しにはなりませんでした。
 後日お話しを伺ったところ、演奏する曲がモーツアルトだけではなくなって
しまったため「他の作曲家に悪いから」というご配慮だったそうです。
 とてもお似合いになって素敵でしたので残念でしたが、宮様らしいお気遣い
だと思いました。



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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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