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#83.ともひと親王殿下と私 其の弐

Posted by KINN Tailor on 25.2012 特別な話   2 comments   0 trackback
 宮様の服のお好みについてお話ししたいと思います。

 最初は正にアイビースタイルがお好みでしたが、英国から戻られた後わり
と早い段階で宮様流のスタイルができ上がりました。
 ジャケットの一番の特徴は袖にあります。袖の二の腕の辺りはできるだけ
細めに作り、袖口に向かって徐々に広げていくデザイン
です。よく袖口だけ
広いものがありますが、それとは少し違います。
 図を見て頂くと分かりやすいかと思いますが、袖が上の方から直線的に太
くなっている
のです。
 そして、基本的にシングル三つ釦段返りで中一つ掛け、掛釦はオガミ
するというのも特徴の一つでした。
    ジャケット 図1*

 ちょっと変わったデザインのジャケットのご注文を受けたこともあります。

皆さんご存知のように宮様は大変スキーがお好きで、また大変お上手でした。
ヨーロッパではオーストリアがスキーで有名ですから、学校がお休みの時など
は頻繁に行かれていたようです。そのオーストリアの民族衣装をとてもお気
に召していらして、ある日「これを参考にしてジャケットを作って下さい」
とおっしゃいました。
 生地はローデン(蒸気で縮めた厚い布地)でしたが、宮様はフランネル
選ばれました。上襟はスタンドカラーラペルは飾り釦で身頃にとめ、前釦
は両前とも穴をかがりチェーンで繋がった釦でとめるスタイルでした。更に
両胸のポケットの周りとスタンドカラーに刺繍が施してありました。
 宮様はかなりの凝り性でいらして、見本がある場合は細部までそっくり同
じになさるのが常でしたので、刺繍はどうされるのかと思っていましたら、
「僕の印は柏だから柏の葉を刺繍して下さい」とのことでした。
 この刺繍が問題で…四方を当たったのですが引き受けてもらえる所がなく、
結果的に自分で刺繍をして、とても苦労した覚えがあります。
 仕上がりはかなりお気に召して頂き、この後同じデザインのものを何回か
お作りしました。
  オーストリアのジャケット*
 次回は、宮様にお仕立てした服の中から、特に拘って作られた物について
ご紹介したいと思います。


寛仁殿下は本当にお洒落な方だったのですね。対談集は拝読していましたので、お亡くなりになったことが未だに信じられません。服文化の牽引者の一人が逝かれて、一つの時代が過ぎ去ったのかもとも思えます。
その殿下の服飾面でのアドバイザーをなさっておられた服部さんから殿下のお話が聞けることは、楽しみでなりません。本質を踏まえた上でアイデンティティーの表現に拘られていた服部さんとのやり取りを通じ、殿下の人柄を偲びたいと思います。
2012.07.01 21:04 | URL | リカルド夙川 #- [edit]
いつもコメントありがとうございます。
宮様とのお付き合いは多方面に渡っていましたが、
ブログではお洋服のお好みや、それに纏わるお話を
させて頂きたいと思います。
今後とも宜しくお願いいたします。
2012.07.05 10:30 | URL | 服部 晋 #- [edit]


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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