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#81.懐かしい職人の仕事 その四

Posted by KINN Tailor on 11.2012 懐かしい話   0 comments   0 trackback
 懐かしい職人さんの仕事について、この何回かでお話しして来ましたが、
当時は「ラオ屋さん」のように、職人さんが出向いて来て道端で仕事をして
いく事も少なくありませんでした。

 例えば、毎朝豆腐屋さんと同じ位の時間に、「あさり~」という売り声が
聞こえて来ましたが、これは「あさりの"むき身"屋さん」が来た知らせです。
たぶん品川から来たのでしょう、私達の家の丁度前あたりに小さなリヤカー
を止めて、貝をむきながら商売をしていました。沢山のお客さんが朝ご飯用
に、この"むき身"を買っていたようです。

 また「タガ屋さん」もよく来ていました。今はプラスチックの洗面器を使
っている方が殆どだと思いますが、この当時は木の桶やタライが使われてい
ました。丸い木の底に細長い板を何枚も廻して竹で編んだタガで締めてあり
ましたが、何といっても木ですから水には弱い訳です。
 その修理をしに来ていたのですが、「桶屋さん」ではなく「タガ屋さん」
と呼んでいました。何軒かの家から修理品を預かって、道の角のちょっと広
くなっている所で修理をするのです。
 最初に悪くなった箇所の木を取り除いて、その替わりになる板を作ります。
それを上手に組み立てて元の桶の形に戻し、それから竹を細く削って器用に
タガを編んでいくのです。見当で作っているのによく大きさが合うものだな
…と感心したものです。
 この作業が面白かったのか、修理している様子を通りがかりの人が何人も
足を止めて見物していました。
 当時はこういった職人さん達が道で仕事ができたくらい、車や人の通りが
少なかったのですね。今思い浮かべてものどかな光景です。

 あの頃の店と云えば個人商店が中心で、近所には色々なお店がありました。
私共の仕立屋もその一つです。
 そして更に何かを売りに来たり修理したりしに来る職人さんがいたりして、
町に活気があり、それぞれに個性もありました。町には"彩り"があり、人間味
もあった気がします。
 ちょっと前迄は、電球が切れたので買いに出たついでに本屋さんで立ち読
みをして八百屋さんに声を掛けられ、何となくスイカを買ってしまった・・・
なんて事もよくありましたが、今は電球を1つ買うにも大型店まで出向かない
といけない感じです。
 今はパソコンで何でも買えますし、全国の物がすぐに手元に届くという便利
さもあるのでしょうが、その分町から個人商店がなくなり、殺伐としてしまい
ました。何となく寂しい気がするのは私だけでしょうか。
 また懐かしい仕事を思い出したら、お話ししたいと思います。


  6月6日にご逝去された 三笠宮ともひと親王殿下
ご冥福を、心よりお祈り申し上げます。


 ※パソコンによっては、親王殿下のお名前の表記が文字化けしてしまうため、
平仮名で表記させて頂いています。



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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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