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#80.懐かしい職人の仕事 その参 氷屋さん

Posted by KINN Tailor on 04.2012 懐かしい話   0 comments   0 trackback
 私が子供の頃の冷蔵庫は、今のように電気で冷やすのでなく、上段に氷を
入れ、下段に入れた食品を冷やす…というものでした。戦後しばらく、昭和
30年頃に電気冷蔵庫が量産され急速に普及するまでは、この保冷箱タイプ
一般的で、皆さんもTVドラマ等で見たことがあるのではないかと思います。

 上段には氷を1貫目丸ごと入れるのですが、夏場などは氷水なんかも欲しく
なりますから、この氷を専用のノミ(氷カキと呼んでいました)で割って使
いましたので、それ程長くはもちませんでした。夏場は2貫まとめてもらった
りしていた位です。
 1貫の氷はたいそう重く、いちいち買いに行く訳にはいきませんので、氷屋
さんがリヤカーに積んで配達をしていました。各家庭に2日に一度程配達して
いたので、大変な重労働だったと思いますし、氷は溶けますから、運ぶ範囲も
限られていたでしょう。
 その為か、街中には「氷屋さん」が今よりもずっと多くありました。
 氷屋さんは配達する家の前にくると、大きなノコギリを出して氷を切り始め
ます。かなり大きな荒い刃の付いたノコギリで「シャーシャー」と氷を切り分
けるのです。いかにも爽快な音でした。
 その時に切り屑が沢山散らばるのですが、子供の私たちはこれを掻き集める
のが楽しみでした。氷の屑はひんやりとして気持ちが良く、夏の風物詩の一つ
でした。
 氷屋さんの仕事を見ていて面白かったのは、氷を切る時に上から下までノコ
ギリを入れて切るのではなくて、3分の2位まで刃を入れたところでノコギリを
抜いて、刃を反対向きにして氷の切れ目に差し込んで、一寸突っつくのです。
そうするとうまい具合にノコギリを差したところからパチンと割れるのです。
見ていて気持ちの良いものでした。

 さて、氷1貫というと約3.75kg なのですが、これを大きなカギの手?(名前
が思い当たりません)みたいな道具で引っ掛けて台所まで運ぶのですが、これ
がいかにも大変そうでした。
 ところがその内に、新型の氷用冷蔵庫ができたのです。それは氷を入れる扉
が後側にも付いている
…という代物です。これは後の扉の位置に合わせて台所
の壁に穴を開けて、そこから氷を出し入れする
…という物なのです。
 つまり氷屋さんは重たい氷を家の中を通って運ばないで、その穴から(家の
外から)氷を入れられるようになった!…という訳なのです。
 現代では、家の壁に穴を開けて人が物を入れて行く…なんてビックリだと思
いますが、この当時はとても便利で画期的なアイデアだったのです。
 正に「必要は発明の母」なんでしょうか。。。。
氷屋さん**


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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