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#73.チョークの話

Posted by KINN Tailor on 16.2012 道具の話   0 comments   0 trackback
 チョークも、私共の仕事では欠かすことのできない道具の一つです。
 生地に型紙を置いてチョークで周りに印を付けていく訳ですが、チョーク
というのは意外に減りが早いもので、少し書くと線が太くなってしまいます。
 それでは具合が悪いので、裁断をする際には、あらかじめ先を細く削った
チョークをたくさん用意しておくのですが、それでも途中で何度もチョーク
を削り直さなければなりません。
 先が細くないと綺麗に描けないのですが、太い線では見苦しいこともあり
ますし、一寸真面目な?職人さんには「この線はチョークの内側ですか?
外側ですか?
」なんて、からかわれたりします。
 そう言われると甚だシャクなので一生懸命チョークを削る訳ですが、この
チョークは結構割れやすく、先を薄く削るのにも修業が必要です。
 昔、講習会で講師が裁断をしているそばに助手がいて、ひたすらチョーク
を削って次から次へと先生に渡していたことがありました。普通はカッター
で削っていきますが、中には手術用のメスで削っていた人がいて、これには
驚かされました。
 削り方も人それぞれで、私塾の生徒を見ていると色々と削り方が違うので
実に面白いです。
 私は画のようにチョークを寝かして削りますが、中にはチョークに対して
垂直に刃を当てて削っていく人もいます。

      チョーク*
      *チョークに対して刃を立てずに、広い面積を削る

 裁断の時私は、型紙の全てをチョークでなぞる訳ではありません。ポケッ
トやアームホールなどはフリーハンドで描いていきます。
 アームホールなどのカーブはどうしてもフリーハンドで描いた方が綺麗に
描ける気がしますし、ポケットの角度などは、デザインや生地のイメージで
変えたいので、そういう箇所は型紙を外して、生地とにらめっこをしながら
描き加えていくのです。ポケットを描くと布地に表情が出て、仕上がり状態
が見えてきますので、なかなか楽しい瞬間です。

 さて、チョークには白の他に赤や青、黄色もあります。
 私は白しか使わないようにしています。何故なら、色チョークには色素
入っていますから、後々までその色素が布地に残ってしまうとなると…少々
厄介だからです。
 白地に白いチョークは見えにくいのですが、先を尖らせておけば綺麗に描
けるものです。私は、描きやすく・消えやすい物が "良いチョーク" だと思っ
ています。
 中には消えにくいチョークを好まれる方もいらっしゃるようですが、私は
チョークを引いた後に「切り躾」を打つので、チョークの線は長く残らなく
ても良いのです。
 また、仮縫いをした時に修正のチョークを入れることがありますが、前の
は残っていない方が良いので、やはり消えやすくて良い訳です。
 チョークには三角形と四角形の物とがあります。実際に使って見ると四角
い方が線が描きやすいのですが、材質は三角形の「人物印チョーク」が良く、
綺麗な線が描けるので、私は三角形の一面だけを削りながら使っています。

 道具は使う人の好みもありますが、長年使うことで手に馴染んで、こちら
道具に馴れてくるので、自分の手の一部みたいなチョークはずっとここの
物を使い続けるのだろうな・・・と思います。


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プロフィール

KINN Tailor

Author:KINN Tailor
服部晋(はっとり すすむ)
金洋服店 2代目店主
10代半ばから父・金生に師事し、洋服作りを修業。
伝統的な裁断・縫製技術を磨きながら日々研究を重ね「斜面裁断」や「プルダウン」など独自の技法を開発。
近年では後進指導のための私塾やセミナーなどを開催する一方で、技術継承のためにDVD制作にも積極的に取り組んでいる。

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