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416.袖の話 その壱
厳しい暑さが続いていますが、皆様お変わりありませんでしょうか・・。
前回迄は少し夏休み気分で、"懐かしい話"などをして来ましたが、今週から
はまた"技術の話"をしたいと思います。
私塾の生徒さんを始め、メールなどで質問が多いのが「袖」についてです。
私が仕事を習い始めた頃に、ベテランの職人さん達が口を揃えて「袖付け
は難しい」と言っていた事を思い出します。
袖は特殊な形をしていますし、狭いアームホールに袖を付ける作業は、慣
れない内は苦労するものです。縫い合わせた時の糸の加減で、着心地や腕の
動きが全く違ってしまう・・という点でも、"それなりの経験と技術"が必要
という事になります。
そこで、袖付けと綴じる時のポイントを説明したいと思いますが、その前
に…
「採寸も製図も間違えていない筈なのに、どうも袖が上手くいかない」とい
う事はないでしょうか。
そのような場合、次の点を見直してみるといいかも知れません。
①アームホールのカーブ

カーブを描く時に、腕を動かし易くしたい…という気持ちがあると、つい
カーブを深く描いてしまう事があります。ところがこれは逆効果で、カーブ
が深くなると袖は動かしにくくなります。
特に腕は前に動かす率が高いので、後身頃のカーブが深過ぎてしまうと、
腕が前に出にくくなり、背中に横シワも出てしまいますので注意しましょう。
②袖のカーブ

山袖と下袖でも、フリーハンドで描くカーブがあります。
よくあるのが、山袖の前の張り出しが足りない、または下袖のカーブが深
過ぎるケースです。
仕上がった袖を見ると、山が丸く見えるかも知れませんが、それはユキ綿
やパッドが入っているからで、腕の骨は肩より前に出ている分、張り出しが
必要になる訳です。袖山の形をもう一度チェックしてみましょう。
出来上がったジャケットの画像が送られてきて、質問される事もあります。
写真を拝見すると「この服は袖山の高さが足りていない」と思う事がよく
あります。
もし肩の縫い目が波を打ったようになったり、肩に問題がないのにツキが
出てしまう場合は、袖山の高さが足りないのかも知れません。張り出しでは
なく、高さそのものが足りないのです。
お客様が変わっても同じトラブルが出るような場合は、製図の描き方の見
直してみるのも一つの解決策だと思います。
次回は、「袖付け」についてお話しします。
〈つづく〉
前回迄は少し夏休み気分で、"懐かしい話"などをして来ましたが、今週から
はまた"技術の話"をしたいと思います。
私塾の生徒さんを始め、メールなどで質問が多いのが「袖」についてです。
私が仕事を習い始めた頃に、ベテランの職人さん達が口を揃えて「袖付け
は難しい」と言っていた事を思い出します。
袖は特殊な形をしていますし、狭いアームホールに袖を付ける作業は、慣
れない内は苦労するものです。縫い合わせた時の糸の加減で、着心地や腕の
動きが全く違ってしまう・・という点でも、"それなりの経験と技術"が必要
という事になります。
そこで、袖付けと綴じる時のポイントを説明したいと思いますが、その前
に…
「採寸も製図も間違えていない筈なのに、どうも袖が上手くいかない」とい
う事はないでしょうか。
そのような場合、次の点を見直してみるといいかも知れません。
①アームホールのカーブ

カーブを描く時に、腕を動かし易くしたい…という気持ちがあると、つい
カーブを深く描いてしまう事があります。ところがこれは逆効果で、カーブ
が深くなると袖は動かしにくくなります。
特に腕は前に動かす率が高いので、後身頃のカーブが深過ぎてしまうと、
腕が前に出にくくなり、背中に横シワも出てしまいますので注意しましょう。
②袖のカーブ

山袖と下袖でも、フリーハンドで描くカーブがあります。
よくあるのが、山袖の前の張り出しが足りない、または下袖のカーブが深
過ぎるケースです。
仕上がった袖を見ると、山が丸く見えるかも知れませんが、それはユキ綿
やパッドが入っているからで、腕の骨は肩より前に出ている分、張り出しが
必要になる訳です。袖山の形をもう一度チェックしてみましょう。
出来上がったジャケットの画像が送られてきて、質問される事もあります。
写真を拝見すると「この服は袖山の高さが足りていない」と思う事がよく
あります。
もし肩の縫い目が波を打ったようになったり、肩に問題がないのにツキが
出てしまう場合は、袖山の高さが足りないのかも知れません。張り出しでは
なく、高さそのものが足りないのです。
お客様が変わっても同じトラブルが出るような場合は、製図の描き方の見
直してみるのも一つの解決策だと思います。
次回は、「袖付け」についてお話しします。
〈つづく〉