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#403.お客様の服_ボックスプリーツのポロコート その壱
今回も、お客様の服をご紹介します。
前回、「スポーツジャケット」をご紹介しましたが、同じお客様の「ポロ
コート」も、大変凝ったご注文でしたので、是非ご紹介したいと思います。
お越し頂いた際に雑誌をお持ちになり、「このポロコートと同じデザイン
で…」とおっしゃいました。生地はカシミアではなく「キャメル」がご希望
との事でした。 キャメルは以前は良く使われていましたが、最近はあまり
お目に掛からなくなりました。それでも英国製の質の良いキャメルを運良
く入手でき、「これはいい!」と喜んだ迄は良かったのですが、問題はその
デザインでした。
持参された雑誌には、ルチアーノ・バルベラ氏がポロコートを着て、幾つ
かポーズを取っている写真が載っていました。
特徴的だったのが後姿で、「ボックスのプリーツが3段重ねて取ってある」
デザインでした。(下図参照)。

雑誌には、裾から腰の辺り迄の写真しかありませんでしたので、「多分、
背中にヨークを付けてプリーツを消しているのだろう」…と思い、その事を
お伝えしたところ、「ヨークは好きでないので、プリーツを背中まで付けて
欲しい」との事でした。・・・さて、ここから散々悩みました。
プリーツ3段と言っても一番奥のプリーツは短めでしたので、裏から別布
を付ければいい筈なのですが、上の2段は畳んで重ねる事になりますので、
生地が5枚重なる事になります。
5枚重ねた状態では背中が厚くなり過ぎるのでは?…とか、襟元が厚くて
衿が綺麗に付かないのでは?…とか。そして背中の真ん中に縫い目がない
デザインなので、後身頃を1枚で裁つ事になるが、縫い目がないという事は、
一番奥の途中から付けるプリーツの縫い代などはどうすればいいのか?…
等々、心配事が山程ありました。
とりあえず生地を畳んで厚さを確かめ、どうにか薄くする方法はないか
…を、まず考えました。
今迄、かなり斬新なデザインの服も作ってきたつもりでしたが、デザイン
面では今回が一番悩んだかも知れません。
色々とやってはみたものの結局良い方法が見つからず、仮縫いの際にもう
一度お客様と相談しました。
お客様は、「厚くてもいいので、プリーツのままヨークは付けないで…」
とおっしゃいましたので、5枚重ねたまま背中を作り、襟元の内側の布を
"さらって"付ける事にしました。
散々悩みましたし、仕上がりが心配ではありましたが、でき上がってみる
と、とてもスッキリ!…いい味のコートになり、本当にホッとしました。
その素敵なコートの写真は、次回たっぷりご覧頂きたいと思います。
〈つづく〉
前回、「スポーツジャケット」をご紹介しましたが、同じお客様の「ポロ
コート」も、大変凝ったご注文でしたので、是非ご紹介したいと思います。
お越し頂いた際に雑誌をお持ちになり、「このポロコートと同じデザイン
で…」とおっしゃいました。生地はカシミアではなく「キャメル」がご希望
との事でした。 キャメルは以前は良く使われていましたが、最近はあまり
お目に掛からなくなりました。それでも英国製の質の良いキャメルを運良
く入手でき、「これはいい!」と喜んだ迄は良かったのですが、問題はその
デザインでした。
持参された雑誌には、ルチアーノ・バルベラ氏がポロコートを着て、幾つ
かポーズを取っている写真が載っていました。
特徴的だったのが後姿で、「ボックスのプリーツが3段重ねて取ってある」
デザインでした。(下図参照)。

雑誌には、裾から腰の辺り迄の写真しかありませんでしたので、「多分、
背中にヨークを付けてプリーツを消しているのだろう」…と思い、その事を
お伝えしたところ、「ヨークは好きでないので、プリーツを背中まで付けて
欲しい」との事でした。・・・さて、ここから散々悩みました。
プリーツ3段と言っても一番奥のプリーツは短めでしたので、裏から別布
を付ければいい筈なのですが、上の2段は畳んで重ねる事になりますので、
生地が5枚重なる事になります。
5枚重ねた状態では背中が厚くなり過ぎるのでは?…とか、襟元が厚くて
衿が綺麗に付かないのでは?…とか。そして背中の真ん中に縫い目がない
デザインなので、後身頃を1枚で裁つ事になるが、縫い目がないという事は、
一番奥の途中から付けるプリーツの縫い代などはどうすればいいのか?…
等々、心配事が山程ありました。
とりあえず生地を畳んで厚さを確かめ、どうにか薄くする方法はないか
…を、まず考えました。
今迄、かなり斬新なデザインの服も作ってきたつもりでしたが、デザイン
面では今回が一番悩んだかも知れません。
色々とやってはみたものの結局良い方法が見つからず、仮縫いの際にもう
一度お客様と相談しました。
お客様は、「厚くてもいいので、プリーツのままヨークは付けないで…」
とおっしゃいましたので、5枚重ねたまま背中を作り、襟元の内側の布を
"さらって"付ける事にしました。
散々悩みましたし、仕上がりが心配ではありましたが、でき上がってみる
と、とてもスッキリ!…いい味のコートになり、本当にホッとしました。
その素敵なコートの写真は、次回たっぷりご覧頂きたいと思います。
〈つづく〉